コロナ禍拡大が止まらない。感染者が急増している大阪、兵庫などで「まん延防止措置」が始まった。感染者が連日80人を超すお隣の京都でも、クラスターが発生するなど状況が再び悪化しつつあり、まん延防止の新たな適用地域となった。その京都はコロナ禍でインバウンドが姿を消して丸1年になるが、観光の現状はどうなっているのか──。ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。
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国際的な観光地・京都をコロナショックが直撃した。京都市観光協会データ年報によると、2020年の京都市内の主要宿泊施設の延べ宿泊客数は、前年比61.2%で、調査開始以来、初めての減少となった。
客室稼働率に至っては35.8%の低水準。外国人宿泊比率は14.4%で過去最低だ。もっとも、これはコロナ禍前の1─2月分を含む数字。緊急事態宣言が発令された4月以降の外国人宿泊客は「ほぼゼロ」に近い状況が続いている。インバウンドが完全に「消失」してしまった。
それは直近の2021年2月のデータをみても明らかだ。日本人の延べ宿泊数は前年同月比58.2%減、外国人延べ宿泊数は実に99.5%減、客室稼働率は18.6%と惨憺たる状況だ。3月下旬以降「花見客が増えた」「目立つ若者」といった報道があったが、状況を改善させるような動きとは程遠い。
インバウンドバブル弾けて廃業相次ぐ宿泊施設
こうした中、民泊施設や簡易宿泊所の廃業が相次いだ。2020年1─12月の宿泊施設数は、新規開業が518軒あった一方で、580軒が廃業に追い込まれた。今年3月には市内のゲストハウス78軒を管理運営していた不動産開発会社が倒産した。
当然、街中や観光名所もコロナ前までとは様相が一変した。さすがに花見時期の嵐山・渡月橋周辺は観光客で混みあっていたが、三年坂周辺などの観光名所にインバウンドと日本人観光客でごった返していた光景はもはや見られなくなった。京都市内の様子について、ネット上にはこんな声が出ている。
「いつもの春だと市バスは積み残しが出るほど混んでるけど、今年は空いてる」
「(清水寺、円山公園方面は)コロナで閑散としていた昨年と違って人出もあり賑やかでしたが、インバウンドで賑わっていたころに比べれば、今はまだ狙い目かもしれません」
インバウンドバブルが弾け、古都に静けさが戻ってきたようだ。