夜の過ごし方
夜の貴重なリラックス時間、テレビ鑑賞や読書時には、痛みの出にくい姿勢を保つことをお忘れなく。就寝時の姿勢も、安眠のために配慮したい。加えて着目すべきは入浴だ。脊柱管狭窄症の大敵は、体の冷え。寒い環境では血管が収縮し、血流が悪くなる。真夏日でもクーラーの利いた部屋にいれば、痛みやしびれの症状が出やすい。冷えを手っ取り早く解消できる生活習慣が、入浴なのである。
「風呂は1日2回入ってほしいくらい。体を洗わなくていいので、首までしっかり浸かって温まることが大事です。散歩前に入浴しておくと、しびれが出にくく、長距離を歩けるようになりますよ」(酒井氏)
・姿勢を正した生活で将来の「寝たきり」を防ぐ
今回紹介した25項目を意識しながら数週間過ごすうち、ほかのシーンでも自分がどう振る舞うと良いかが自然と見えてくる。座って脚を組むと「これは腰に負担のかかる姿勢だからやめておこう」と脚の位置を戻したり、買い物袋が2つあれば、両手それぞれに持って左右のバランスを保つ工夫をして歩くようになるだろう。そうして症状を軽減させたところで、脊柱管狭窄症の自力改善に成功した人は多いのだ。
逆に、痛みやしびれを怖がるあまり活動を控えるのは厳禁。じっとしているだけでは治らず、そのまま寝たきり生活にも突入しかねない。1日の運動量は、寝る前に「今日もよく歩いたから、ふくらはぎがちょっと疲れたな」と感じる程度を目安にしたい。爽やかな翌朝を迎えるため、できることから始めよう。
取材・文/山本真紀
※週刊ポスト2022年6月10・17日号