ヤクルトとDeNAに大きく引き離され、セ・リーグ優勝がほぼ絶望的になっている巨人。クライマックスシリーズ進出を懸けた3位争いをしているが、その一方で47年ぶりの最下位の可能性も十分ある。
「投手陣はエースの菅野智之にかつてのような安定感はなく、他に計算できるのは戸郷翔征くらい。シーズン前から巨人の苦戦はある程度予想されていました。一番痛かったのは坂本勇人の離脱ですが、実績のない若手投手を何人も先発起用せざるを得ない状況で上位進出は難しい。外国人のシューメーカー、アンドリースの不振も誤算でしょう」(プロ野球担当記者)
原辰徳監督は若手投手陣には目を瞑って起用しているが、捕手への当たりは強い。8月24日の中日戦、3年目の左腕・井上温大をプロ初先発のマウンドに送ったが、5回途中で降板。試合後、原監督は女房役の大城卓三について、「何とかうまくリードしてくれと初めて彼に託したんだけど」と話し、初回のパスボールにも苦言を呈した。
「よく自分と同じ東海大相模高、東海大出身の大城に厳しいと言われますが、期待している証だと思いますよ。プロ初先発の投手の初回にパスボールして何も言われない方がおかしいでしょう。ただ、原監督は今になって、昨年楽天に移籍した炭谷銀仁朗の穴の大きさを痛感しているでしょうね。
炭谷が担っていた役割を期待された小林誠司は33歳とベテランの域に入っていますが、若手投手の手助けをできているかと言えば疑問です。投手の最大の良薬は勝ち星ですが、あまりに打てないため、小林を先発で使うと打線が分断される。打率1割台前半ではレギュラーで起用できなくて当然です」
今年の巨人は山崎伊織、赤星優志、堀田賢慎、井上温大の4人がプロ初先発するなど若手投手陣にチャンスが与えられている。プロ初勝利を挙げた直江大輔、昨年11勝をマークした髙橋優貴なども含め20代のピッチャーが成長しない限り、来年以降も厳しい戦いが強いられる。
今シーズンから出てきた投手は別にしても、畠世周や今村信貴、桜井俊貴、鍬原拓也など期待されてきた若手は伸び悩んでいる。