ライフ

古くて新しいトコジラミ被害 遭ってしまったらどうすればいいのか

病害虫を持ち込ませないために空港での水際対策には工夫が重ねられているが、それでも防ぎづらいのがトコジラミ。日本に到着した旅客の手荷物から肉製品を探す羽田空港の検疫探知犬(時事通信フォト)

病害虫を持ち込ませないために空港での水際対策には工夫が重ねられているが、それでも防ぎづらいのがトコジラミ。日本に到着した旅客の手荷物から肉製品を探す羽田空港の検疫探知犬(時事通信フォト)

 寄生する病害虫が国内へ入り込むことを防ぐため、検疫のための処理をしていない野菜や果物、肉類の多くは持ち込み禁止とされており、国際空港の検疫カウンターでそれらが没収されていることはよく知られているだろう。だが、それでも海外との行き来が盛んになると病害虫が持ち込まれる。そのうちのひとつが、衛生環境の改善と殺虫剤により日本では生息が激減していたトコジラミだ。俳人で著作家の日野百草氏が、古くて新しいトコジラミと、さらに進化した「スーパートコジラミ」の被害についてレポートする。

 * * *
「引っ越しました。確かに古いマンションでしたが、まさかあんなのがいるなんて思ってもみませんでした。前もって知識があったら確認したのに、残念です」

 30代のサラリーマン男性、少し古いが立地の良い賃貸マンションで新しい暮らしを始めるはずが、そこには最悪の「先住者」がいた。

「トコジラミです。いまも刺されたところが痒くて、もう半年も苦しんでます。しつこいし、本当に怖い虫です」

 先住者とはトコジラミ。別名、南京虫という吸血性の昆虫である。東京都保健局のパンフレットによれば、

〈トコジラミとは?
大きさ: 5mm~8mm(成虫)
体 型: 丸く、扁平でとても薄い
色 : 褐色
* 夜、部屋の隙間等から出てきて活動します。
* 人や動物の血液だけをエサとして生活し、吸血しなくても長期間生きることができます。
* 成虫は、3~4か月生きています。〉

 とのことで、海外に出かける機会の多い方にはお馴染みの虫だろう。シラミとつくがシラミではなくカメムシに近い。刺される(吸血される)と彼のように猛烈な痒みに襲われる。繁殖力も生命力も強く、絶食状態でも2ヶ月とか平気で生きる上に大量の1mmくらいの卵を産み続ける。東京都保健局によればメスの産卵は生涯で500個にも及ぶ。1匹でもいたら、放置したなら、その部屋はいずれトコジラミに占拠されると考えていいだろう。トコジラミの東京都への相談は 2005年にわずか26件だったものが2018年には354件と13倍以上の増加となっている。原因はインバウンド、多くの訪日外国人や邦人帰国者によって持ち込まれたと各保健所でも報告がなされている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「複数の刺し傷があった」被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと、手柄さんが見つかった自宅マンション
「ダンスをやっていて活発な人気者」「男の子にも好かれていたんじゃないかな」手柄玲奈さん(15)刺殺で同級生が涙の証言【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場(時事通信フォト)
「日本人は並ぶことに生きがいを感じている…」大阪・関西万博が開幕するも米国の掲示板サイトで辛辣コメント…訪日観光客に聞いた“万博に行かない理由”
NEWSポストセブン
ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(dpa/時事通信フォト)
《ハイ状態では…?》ジャスティン・ビーバー(31)が投稿した家を燃やすアニメ動画で騒然、激変ビジュアルや相次ぐ“奇行”に心配する声続出
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
4月14日夜、さいたま市桜区のマンションで女子高校生の手柄玲奈さん(15)が刺殺された
「血だらけで逃げようとしたのか…」手柄玲奈さん(15)刺殺現場に残っていた“1キロ以上続く血痕”と住民が聞いた「この辺りで聞いたことのない声」【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン