小川さゆりさん(元旧統一教会2世)
エイト:僕の経験からも、特にエホバの証人には脱会した2世同士のトラブルが多い印象です。実社会から引き離されて対人関係のスキルが育たず、対人関係で躓くと心が折れてしまう。「曖昧」を許せない人が多い印象です。
夏野:私はただ、教義が正しいかどうかではなく、「子どもをムチで叩いてはダメなんですよ」ということを強調したいけど、なかなか伝わりづらい。皆が同じ方向を見るのは難しいし、色々な意見があるのはわかっているのですが……。
エイト:教義が正しいか否かは論点ではなく、教義が人権侵害や児童虐待に結びつくとダメだ、ということですよね。
夏野:そうなんです。
小川:その問題はありますよね。「こうしろ」と文句を言うのは簡単だけど、実際に顔を出して行動に移すことは大変だし、全てを掬い取るのは本当に難しい。
脱会後に帰属できる場所
エイト:2人のように勇気をもって発信してくれる人が出てきて非常にありがたいですが、当事者を前面に出すことはリスクを伴います。それでも膠着した事態を前に進めるには、顔を出した当事者の声が欠かせない。支援する側は常に感謝の気持ちと申し訳ない気持ちというジレンマを抱えています。
夏野:やっぱり、顔を出さなくていいなら出したくない。でも顔を出して訴えたことでようやく教団の問題が報じられるようになりました。それは大きな成果だと思います。
エイト:この先は何を目指していきますか。
小川:まずは統一教会の解散を求めたい。これだけの被害があり、献金の返金を求める集団交渉も始まりましたが、教会に真摯に向き合う姿勢は見られず、もう改善を期待する段階ではないと思います。「教団のお金の流れを明確にして不当なところは改善しないといけない」「子どもの被害をなくす」という主張はし続けないといけない。