カリウムが足りているかどうかを調べる指標として、最近注目されているのが「ナトカリ比」だ。牧野さんが解説する。
「ナトカリ比とは、尿中のナトリウムとカリウムの比率のこと。食事で摂取したナトリウムやカリウムの大半は尿として排泄されるので、塩分の摂取量が多いと値が高くなり、塩分に比べてカリウムをたくさん摂っていると低くなります。ナトカリ比は2以下に抑えるのが理想で、低いほどいいとされています」
最近では特定健診で取り入れる自治体も増えているので、そうした健診や医療機関で測定してもらおう。
排塩の最強食品「バナナ」の底力
体から塩分を排出して体内環境を整えるため、カリウム食材を積極的に摂りたいもの。
「カリウムは野菜、果物、いも類、豆類、きのこ類などに多く含まれています。しかし日本人は残念ながら野菜や果物の摂取量が少ない。
厚生労働省と農林水産省が策定した『食事バランスガイド』では、成人1日あたり野菜350g以上、果物200gを目標に掲げていますが、現状は野菜が平均約280g、果物も100gに満たない人が多い。排塩するには野菜や果物を積極的に摂るようにしましょう」(牧野さん)
では具体的に何を食べればいいのだろうか。
大塚亮さん(おおつか医院院長)、佐藤桂子さん(さとうヘルスクリニック院長)、清水加奈子さん(管理栄養士)、谷本哲也さん(ナビタスクリニック川崎内科医)、細川モモさん(予防医療・栄養コンサルタント)、南恵子さん(All About「NR・サプリメントアドバイザー/食と健康」ガイド)、望月理恵子さん(管理栄養士)の7人の「食のプロ」と「専門医」におすすめのカリウム食品を挙げてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点、6位を5点、7位を4点、8位を3点、9位を2点、10位を1点として集計した。
最も票を集めたのは、安価で手軽に買えるバナナだ。ナビタスクリニック川崎の総合内科・血液内科医の谷本哲也さんが解説する。
「バナナに含まれるカリウムの含有量は多く、中サイズのバナナ1本に約360㎎も含まれています。また天然の糖分は体のエネルギー源になり、食物繊維が血糖値の急激な上昇を抑えてくれます」
味つけ不要でそのまま食べられるバナナは、調理の過程で余分な塩分が加わることがない点もポイント。さとうヘルスクリニック院長で内科医の佐藤桂子さんは、ドライバナナはさらにおすすめだという。
「食材は生よりも乾燥させた方が、栄養が凝縮されて質量あたりのカリウム量が高くなります。ドライフルーツは量を食べることはできませんが、手軽に軽食などで口にできるという点でおすすめ。同様の理由で、4位の切り干し大根も質量あたりのカリウムが多い食材です」
バナナと僅差で2位につけたのはアボカドだ。フードコーディネーターで管理栄養士の清水加奈子さんが言う。
「同じ量で比較すると、アボカドのカリウム量はバナナの約1.6倍あります。脂質、ビタミンB群、ミネラルが豊富で、畑のバターといわれるほど栄養価が高いのが特徴です」