今年3月に行われた読売巨人軍激励会であいさつする阿部慎之助氏(左から3人目)(時事通信フォト)

今年3月に行われた読売巨人軍激励会であいさつする阿部慎之助氏(時事通信フォト)

「松井さんがなってくれるなら一番いい」

 次期監督候補は、“待望論”も含めて、複数の名前が挙がっている。主に、昨年まで一軍の投手チーフコーチで今年はファーム総監督の桑田真澄氏、ニューヨーク・ヤンキースのGM特別アドバイザーである松井秀喜氏、現在ヘッド兼バッテリーコーチの阿部慎之助氏の3人の名前が出ている。

「球団としても松井さんがなってくれるなら、それが一番いい。ここ数年の停滞していたイメージを払拭できるし、人気回復にも繋がる。コーチ経験がないという声もありますが、落合博満さんはいきなり監督になって中日の黄金時代を築いている。問題は本人に資質があるかどうかで、コーチ歴は関係ない。

 松井さんはマイペースであり、泰然自若としている。批判の絶えない巨人の監督というポジションに座るだけの器が十分ある。巨人の監督には歴代の4番やエースしかなれないと言われていますが、現役時代に重圧を乗り越えた人物にしか大役を務められないと考えられているからだと思います。巨人独特のプレッシャーを感じたことのない人には、絶え難い職業なのでしょう。現在の原監督への批判の量を考えれば、わかるかと思います」

 松井氏への待望論は現役引退後から今まで止むことがない。しかし、本人が頑なに固辞していると伝えられ、実現するにはいくつものハードルを越えなければならない。

 その一方で、現実的には、阿部コーチの昇格がもっともハードルが少なそうで、既定路線とも言われている。ただ、ファンの中で「阿部慎之助監督を見たい」という声は意外なまでに上がってこない。どうしてなのか。

「いくつか原因はあると思います。まず、原監督の色が付いているように感じられるからでしょう。2021年の夏に中田翔を無償トレードで獲得して、いきなりスタメンで使った辺りから原監督の求心力は落ちていき、実際にチームも勝てなくなっていきました。つまり、阿部コーチが一軍のコーチになった辺りから、巨人は低迷している。別に阿部コーチの責任ではないと思いますが、敢えて監督に昇格させる理由も見当たらない。

 とはいえ現実には、捕手の大城卓三が成長しているし、秋広優人などの若手が結果を出しつつある。こうしたことは阿部コーチの実績として評価されてもいいような気がしますが、それならバッテリーコーチや打撃コーチでいいという見方もあるのかもしれません」

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