世界の富豪ランキングで首位争いをする起業家イーロン・マスクが2022年10月にSNSのTwitter運営会社を買収してからというもの、Twitter運営方針の変更が告知されるたびに動揺が広がっている。2023年5月9日には休眠アカウントの削除開始が告知され、何度目かになる大きな変化の知らせにも、改めて多くのユーザーから不安を訴える声が上がっている。俳人で著作家の日野百草氏が、休眠アカウントの削除に対する本音をレポートする。
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「昨年末のインプレッション数(Twitterにおけるツイートの閲覧数)の開示より大変なことになるかもしれません。とくに昔からやっていて非アクティブ(休眠)フォロワーが積み重なった古参ユーザーはもちろん、フォロワーが多そうだけど実際は飽きられていた著名人、フォロワーを買っていたインフルエンサーとか、どれだけフォロワーが減るか」
都内でWEBプロダクション事業を営む50代経営者の声。彼は以前、Twitter社がすべてのツイートの閲覧数(Twitterで自分のツイートが他のユーザーにどれだけ見られたか、タイムラインに表示されたかの数字)を表示する新機能「View Count」を発表したときも「Twitterがあと出しでインプレッションまる出しにするなんて驚き」「フォロワー万超えなのに全然読まれてないってバレた」と語っていた。今回はどういうことになるのか。
「まず古参のアカウントですね。2011年の東日本大震災以前とか、その前後からTwitterをやっているユーザーです。Twitter黎明期は「相互フォロー」が基本でいまより有名人も一般人もフォローし合っていました」
Twitterは2006年に誕生した。日本語版(Twitter Japan)は2008年からだが、それ以前から日本語そのものには対応していて日本人ユーザーの多いサービスだった。2010年ごろから多数の有名人が情報発信に使い始め、東日本大震災でのリアルタイムかつ双方向の情報把握のスピーディーさに注目された。
「当初、TwitterはPCでやるものでしたからね。ガラケー(いわゆる携帯電話、フィーチャーフォンとも)全盛期でしたから。小さなブログとかネット掲示板として、旧来のPC文化の使い方で機能していたように思います」
このころ(2010年ごろ)のスマートフォンはシェア4%程度(モバイル社会研究所調べ)。当時の90%の日本国民はガラケーを使っていた。それがLTE(無線規格)の安定やサービス拡大、端末の手に入りやすさ(いわゆる当時の「実質0円」など)で普及、世帯別では2012年に50%、2020年には90%近くがスマートフォンとなった(総務省『情報通信白書』令和3年版)。Twitterのユーザー推移もほぼスマホと連動して右肩上がりとなった。
「Twitterもなんだかんだで15年くらいの歴史があるわけですから、使われていない非アクティブな(休眠)アカウントは大量に溜まっているでしょう。アカウントが作り放題なわけで、誰かをフォローする、誰かを監視する、誰かを攻撃するためだけに作られたアカウントとか、いたずら目的のアカウントを削除もせずに放置とか、サブ垢(メインアカウント以外のサブアカウント)だって使わずに持ってるとか、あとパスワード忘れて放置とかも珍しくない」