血圧同様、健診による血糖値・コレステロール値なども大櫛氏は「基準値から少し外れても気にする必要はない」という。大櫛氏の調査でわかった7項目の「基準範囲」を健診基準値(厚労省)と比較して別掲図に示した。
血糖値の健診基準値も厳しすぎるという。大櫛氏は「十把一絡げでチグハグな点がある」と問題点を指摘する。
「健診の基準値は栄養士などによる『保健指導』と医療機関への『受診勧奨』の二段構えになっています。血糖値では前者の100mg/dlは厳しすぎる。私の70万人調査では、血糖値の上限は男女ともほとんどの年代で100を超えており、歳を取るほど数値が上がるのが正常でした。反対に、受診勧奨基準値は126mg/dlと甘く、この数値では治療が遅れる可能性がある人もいる。男女別・年齢別でないうえに、数値の設定がチグハグなんです」(同前)
LDLコレステロールの基準値にも問題があるという。大櫛氏が続ける。
「120以上で保健指導となるLDLですが、男性では40代以上の年代で異常値とされる人が50%を超えます。これは、欧米の脂質異常症の診断基準(190以上)に当てはめた場合の10~20倍です」
受診すれば、投薬治療が始まることが多いが、注意したい点がある。
「コレステロール値を下げるのにスタチン系薬が一番多く使われますが、スタチン系薬は多用すると横紋筋溶解症や糖尿病の誘発など、副作用のリスクがあります」(同前)
内科医の大脇幸志郎氏はコレステロールは「正直なところ、無視している場合が多い」という。
「コレステロールは血圧に比べて病気との関連が若干小さい。数値をどこまで下げれば病気がどのくらい抑えられるかも、あやふやなのが現状です」