矢野前監督とは異なる佐藤輝明への接し方
開幕前は絶対的なレギュラーと思われていた佐藤輝明は、ホームランこそ13本でチーム最多タイだが、2割2分8厘と確実性に欠けている。
「矢野燿大・前監督は潜在能力を見込んで、結果が出なくても佐藤を使い続けました。一方、岡田監督は打てなければ佐藤でも容赦なく二軍落ちさせている。控え選手のモチベーションを考えると、“聖域”を作らない采配はチームを活性化させる。佐藤に厳しく接することが、今のチーム成績につながっている側面はあるでしょう」
8月15日の広島戦では2点を追う8回無死二三塁で、佐藤が3球三振。前進守備を敷いていなかったため、内野ゴロを打てば1点差になり、なおも1死三塁というチャンスを継続できたろう。その場面で状況を考えないバッティングをしてしまい、岡田監督を呆れさせた。
「佐藤は自分の能力を信じて長打を狙っていたのかもしれません。それはいいとしても、内野ゴロで1点差になって、その後もチャンスが続くという状況を頭に入れていたのかどうか。三冠王を3回取った落合博満さんでさえ、現役時代にノーアウト満塁で打席が回ってきたら、併殺打でも1点入ると計算していたと言います。何でもかんでも振り回しに行く姿勢ではチームの中心選手にはなれない。岡田監督は期待しているからこそ、厳しく当たっているのでしょう」
2位・広島に7ゲーム差をつけており、順当に行けば阪神のVはほぼ確実だろう。ただ、岡田監督は2008年、7月にマジックを点灯させたが、巨人の猛追を許して逆転優勝をさらわれた苦い経験がある。
「あの時は北京五輪があり、藤川球児、矢野輝弘、新井貴浩という主力が抜けて、新井は五輪でケガが悪化して長期戦線離脱となった。今年は梅野隆太郎がケガをしてしまいましたが、坂本誠志郎がカバーしている。レギュラー陣にケガ人さえ出なければ、大崩れはしないでしょう」