『80歳の壁』など数々のベストセラーを生み出す和田秀樹医師が、「58歳から元気になる方法」をテーマに、50代から60代の現役世代の悩みに答える。必要もないのに通販で買い物を続ける80代の親を止める方法はあるのか──。
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「買ったことを忘れている」?
80代を過ぎた親御さんが通販で無駄な買い物をして、止められずに困っているという話は、まず、その買い物が「認知症による物忘れが原因かどうか」がポイントです。
購入から1週間以内でかつ未使用など、通販業者が定めた条件の範囲内なら返品できますが、問題は、頻繁に親の元を訪ねることができずに返品の条件を超えてしまった場合です。たとえ認知症の影響があるにしても、この場合は返品は不可能です。
しかし、それでも予防する手段はあります。認知症の親について「成年後見制度」を利用するのです。成年後見制度のうち、「法定後見制度」には補助、保佐、後見の段階があり、そのうちの「補助」は手続き・契約などの一部を本人だけですることが難しい場合などに利用できます。
具体的には、本人が補助人の候補者を選んで家庭裁判所に申し立て、審理を経て選任されるという流れ。子供が補助人になることもできます。この制度の利用が開始されると、通販での商品購入などの商行為は、本人に加えて補助人の印鑑などがない限り、成立しません。
つまり、成年後見制度を利用していれば、業者に説明の上、本人だけで契約した商取引などは無効にすることができ、返品、返金をしてもらえる場合があります。