そうした状況を踏まえて私が思うのは、買い物のし過ぎで破産するとか、貯金がどんどん減っていくなどの実害がない限りは、本人の楽しみとして許容してもいいのではないかということ。仮に買い物のし過ぎで貯金が減ったとしても、生活に多大な影響が出ない限りは周囲は大目に見ていいはずです。
もし、親御さんが自分の幸せのためにお金を使っているなら、子供が「無駄な買い物して」と目くじらを立てるのではなく、大目に見てあげるのが優しさであるとも言えそうです。
もちろん、通販で無駄な買い物をすることを見過ごすのではなく、それを叱るのでもなく、旅行に行ったり、美味しいものを食べるなど、ほかのお金の使い道を教えてあげるのはありでしょう。ぜひ、親御さん本人の楽しみになるようなお金の使い方を一緒に考えてみてはいかがでしょうか。(了)
【プロフィール】
和田秀樹(わだ・ひでき)/1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、国際医療福祉大学大学院教授、ルネクリニック東京院院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。『80歳の壁』は2022年の年間ベストセラー総合第1位(トーハン・日販調べ)に。