ベナン共和国出身のアイエドゥン・エマヌエルさん

自分の頭の中に「理想の日本語」があると話すエマさん

「自分の頭の中に『理想の日本語』があるんです。それは勉強で得た知識とか、間違った時に修正した記憶とかでできていて、発話する時はいつも稼働している。フィードバックの機能がかかっているというんですかね。

 たまにフィードバックがうまくいかなかったりすると、ちょっと変なことを言ってしまう。あるいは言ったあとに変だったと気付く。いわゆるメタ認知ですね。自分が言っていることを、もう一人の自分が検証している。

 当然ながら気付かないこともあります。そもそも知識がなかったもの、あるいは十分理解できていないものは参照できなくて、スルーされてしまう。で、誰かに指摘してもらって知る。『理想の日本語』にそのデータが蓄積されていくわけです。

 順調に言葉が出ている時は『ああ、参照がうまくいってるな』って頭の中で感じているんですけど、言葉を探すフェーズに入ることももちろんあって、一番適切な、理想の言葉が見つからないときは別の言葉で代用してしまう。代用しつつ、これはあんまり正しくないな、言いたいことはこれじゃないよね、と思っている。だけど何か言わなきゃいけないから、とりあえずこれでしのぎましょうってなる。でもそれは正直ちょっと悔しいので、どんな言葉を使えばよかったかなとあとで考えるんですね」

 最適な表現を、瞬時に口から出す。その難しさは言葉に意識的な人ほど強く感じるだろう。もっと時間があれば、もっといい言葉を考えて発することができるのに、と。

「そうなんですよね。会話は即時性が求められるから、気持ちと完全に一致した表現が思い浮かばなくて、もどかしさを感じることは多々あります。

 その逆で、たとえば5分間会話をしたとして、間をあけず……っていうのは変やけど、その5分間、言葉が自然に口をついて出てきたら、ああなんかよかったなって思ったりします。

 それはつまり、いつも頭を働かせて喋ってる証拠でもあるんですけど……特に話が抽象的であればあるほど、ああ語彙力が足りないなあと思うし、集中力が全部語彙のセレクトに持って行かれて、ものすごく基本的な文法のミスをしてしまったりするんですね。

 もちろん、先ほどのフィードバックのメカニズムが働いているので、あ、今のちょっとおかしかったなって、話しながら気付いてはいるんです。で、気付いちゃっているのでむしろ、悪循環じゃないですけどそこに気を取られてミス連発、どんどんどんどん言葉が出なくなって、内心で自分を責める。緊張感が高まって『こいつ、日本語喋れないって思われてるんじゃないか』みたいな疑念が広がって、さらにプレッシャーが高まる(笑)。相手に『エマ君、どうした? 今日、なんか全然日本語、スムーズじゃないね』みたいに言われたりして……。

 ほんと、今も時々ありますね、そういうこと」

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