コロナ禍から始まった週2回×2時間生で得られた大きなこと
山田:『恋と音楽』シリーズは鈴木さんによる“あて書き”だったし、ベートーヴェンやサンソンは吾郎サンが乗り移ったかのようでしたから、今回は全く違う吾郎サンが見られるのかなと思いきや、“写真”という共通点があることに驚きました。
稲垣:脚本の横山さんも実際、カメラとか写真とかお好きみたいで……。脚本の執筆途中に一度お会いする機会があって、そこから写真というのが加わったんだと思います。
それに横山さんは、僕のラジオ(TOKYO FM『THE TRAD』)をすごく聴いてくださっていたようで、僕の喋るクセとか、ラジオだからこそ表に出る人柄のようなものを理解してくださって脚本を仕上げてくださったんです。
これまでの僕のパブリックイメージや横山さんが抱いていた印象とは微妙に異なっていたみたいなんですよね。週に2日、2時間ずつ話している番組のヘビーリスナーだったからこそ出来上がった脚本だというのは僕にとって本当に有難いし、幸せなことです。
山田:コロナ禍にお目にかかったとき、他者との関わりが遮断されるなか、いろいろな方と生でお話できるラジオ番組はご自身にとって貴重な存在だと仰っていたのを憶えています。
稲垣:軽い気持ちで始めたんだけど(苦笑)、実はすごく大きいね。収録のラジオはいままでやっていたし、最初はそれほど変わりないと思っていたんだけど、よく考えたら生で週に2日とかっていう仕事は、これまでしたことがなかったんでね。それに、ほぼほぼ初対面の人が多いゲストの皆さんと生で話せるというのは自分のなかでは大きなことですね。
山田:お稽古も、もう佳境を迎えていますね。
稲垣:そうですね。横山さんの脚本っていうのは、一見、サラッと読めてしまうものでもあるんですけれど、噛めば噛むほど味が出るというか、稽古場で実際、声にして読み進めていくと本当に素晴らしい脚本だなと思うし、やりがいがあるし、やっていて本当に面白い。
家族の話かなぁなんて思っていたら、これがけっこう深いんです。それに台詞とか、人物の描き方とか、フツーじゃないというか、ちょっと変なんですよね。キャラクターの矛盾点というのもけっこう多くて、そういうところが、やっててたまらないし面白いですね。
役への理解って、どういうことなんだろうって最近よく考えちゃうんです。よく、こういうインタビューでも「自分との共通点は?」とか、「この役のこういう気持ち、わかりますか?」といった質問って定番だし、そういうのを考えながら役作りする俳優さんも多いと思うんだけれど、僕は役を好きになったり、理解したりすることと演じることは違うと思っているんです。
その役をわからないぐらいのほうがやってて面白い。人間関係でもそうじゃないですか。この人よくわかんないと思いながら付き合うほうが面白いでしょ? 今回はとにかく、そういう部分を多く感じていますね。
「吾郎さんとお似合いです」ってずっと推されてる女優さんとのご縁
山田:今回は、『恋と音楽』シリーズでも共演されてきた真飛聖サンがヒロインであることも吾郎サンのファンはワクワクしていると思います。
稲垣:山田サンもそうだけど、なんか皆さん、僕に対して“真飛サン推し”するよね?結婚するんだったら真飛さんにして! というカンジが伝わってくるのは僕だけでしょうか?(笑い) 特に山田サンはずっと言ってるよね?「PARCO劇場」の楽屋でも話したの憶えてる。