公判は12月まで続く予定となっている
アパートの隣室に“隔離”され……《弁護側冒頭陳述概要》
対する弁護側冒頭陳述では、母の離婚や再婚、養父による不適切な養育などがあったことが明かされた。遠藤被告が小学5年生の頃に両親が離婚するまで、両親は遠藤被告の目の前で夫婦喧嘩を始め、時には物が飛び交い、包丁が持ち出されるほどの激しさを見せた。実父はしつけの時に口よりも手が先に出るタイプで、しばしば遠藤被告に体罰を加えた。祖母からは実父の悪口を聞かされて育ったという。
離婚後に実母は再婚し、養父と養子縁組。妹が生まれ、4人暮らしとなった。ところが遠藤被告は養父との関係が悪く、川遊びで遠藤被告が溺れている様子を見て養父が笑っていたこともあるという。また「誰のおかげで生きていられると思ってるんだ」などと言われ、遠藤被告は養父を恐れるように。そのうち養父は、家族が住むアパートの隣室を借り、そこに遠藤被告をひとりで住まわせた。隣から家族3人の笑い声が聞こえてくるなか、遠藤被告は部屋に運ばれてきた食事をひとりで食べていたのだそうだ。
遠藤被告が中学2年生の頃に養父が病死したことで、実母と妹との三人暮らしとなったが、実母は精神的に不安定で、遠藤被告にとって安心できる存在ではなかった。こうした複雑で厳しい家庭環境により、遠藤被告は自己否定の気持ちや、他者への不信感を持つようになった。
小学生の頃は、実父が窃盗事件を起こして逮捕されたことから、地域のニュースとなる。その後、クラスメイトの親が「遠藤被告にゲームソフトを盗まれた」と訴えてきたことから「身に覚えがないことを決めつけられた」と学校を休みがちになった。中学時代もいじめられるなどして学校に馴染めなかったというが、3年生の頃から別室登校を始め、定時制高校に進学。心機一転、無遅刻無欠席の真面目な優等生として知られるようになる。生徒会活動にも取りくみ、生徒会長となった。また学校に通う傍ら、アルバイトをして家計を支えてきた。高校から生活を変えたのは、良い就職先を掴むためだった。