ところが高校卒業後の進路を、実母に勝手に決められてしまった。遠藤被告としては不本意だったが、これまでそうしてきたように、自分の気持ちを抑え、周りの期待に沿うようつとめていた。そんな中、友人からの一言をきっかけに意識し始めたCさんに交際を断られ、LINEをブロックされてしまったことが“最後の一撃”となったという。
「高校での努力は全て無駄だった。やりたくない仕事に就き、稼いだ金を母親に取られる生活になる。何もいいことはない。生まれてこなければよかった」という思いから“極端に将来を悲観し、絶望した気持ちがついに爆発して、もともと持っていた残虐行為への興味が結びつき事件を起こした”と弁護側は主張している。
検察側冒頭陳述の途中から、遠藤被告は両手で耳を塞ぎ続けていた。弁護側の冒頭陳述で自身の生い立ちが語られ始めると、時折目元をティッシュで押さえたり、たびたびマスクを外して鼻をかんでいた。公判は12月まで続く予定となっている。
●取材・文/高橋ユキ(フリーライター)