芸能

【禁断の証言】『山田孝之の東京都北区赤羽』を仕掛けた2人がフェイクドキュメンタリー制作裏を明かす【短期連載・てれびのスキマ「『フェイク』のつくりかた」】

©「山田孝之の東京都北区赤羽」製作委員会 「U-NEXTほか、各動画配信サービスにて配信中」

©「山田孝之の東京都北区赤羽」製作委員会 「U-NEXTほか、各動画配信サービスにて配信中」

 テレビを通じてフェイクドキュメンタリーを知らしめた伝説のドラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京)。あくまでドラマという体裁ではあるものの、山田孝之が実際に赤羽に移住して生活する様子が映し出された。偶発的な出来事や生々しい会話の応酬が次々と起こり、どこまでが本当でどこからが嘘で演出なのかが分からなくなる内容で、視聴者を混乱と快楽の渦に巻き込んだ。

 放送から9年が経って今まで明かされることのなかった制作の舞台裏を、番組を手がけた放送作家の竹村武司氏、映画監督の山下敦弘氏に、山田孝之氏の了承の上で訊くことができた。

 聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。現在、ネットで話題のフェイクドキュメンタリーに意欲的に取り組んでいるテレビ番組の制作者にインタビューを行なう短期シリーズの第5弾【全3回の第1回。文中一部敬称略】。

前代未聞のノンフィクション漫画のドラマ化

 昨今、テレビや配信を含めフェイクドキュメンタリー的な手法が注目を浴びてきている。もともとコアな人気があったこのジャンルだが、テレビで世間に広く届くブレイクスルーになった作品といえば、テレビ東京で深夜に放送された、いわゆる「山田孝之シリーズ」(『山田孝之の東京都北区赤羽』『山田孝之のカンヌ映画祭』『緊急生放送!山田孝之の元気を送るテレビ』)だろう。

 その仕掛け人のひとりが構成作家の竹村武司。“日本のテレビ界でもっともフェイクドキュメンタリーを手がけた構成作家”と言って過言ではない人物だ。そして、松江哲明とともに共同監督を務めたのが『リンダ リンダ リンダ』『天然コケッコー』などの劇映画でも実績のある山下敦弘。今回、その竹村と山下に「墓場まで持っていこうと思っていた」(山下)という制作秘話を伺った(取材はそれぞれ個別でおこないました)。

 2015年に放送された『山田孝之の東京都北区赤羽』は、清野とおるのノンフィクションマンガ『東京都北区赤羽』を原作にしたドキュメンタリードラマだ。タイトル通り、山田孝之が主演で本人役。当初、山田は、原作者でもあり作中にも登場する清野とおる役を演じる構想だった。しかし、ある時、本人役を演じるという発想が出てきた。

「それまでノンフィクションマンガをドラマ化するっていう発想がなかったので、それ自体新しかったと思うんですよ。設定がリアルの中でドラマをやるっていう発想を聞いた時に、“なるほど、これだ!”と思いましたね。

 いい企画になるときって2回ブレイクスルーがあるんですよね。ノンフィクションマンガを実写化しようというのが第1のブレイクスルーで、主人公を本人役にするというのが第2のブレイクスルー。2回あると特殊なものになるというのは、なんとなく今でもあります。それを思いついた時、すべてが開ける感じがありましたね」(竹村)

関連キーワード

関連記事

トピックス

「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン