約630万人ある千葉県人口には東京都へ通勤・通学する「千葉都民」が多く含まれていると言われ、実際に「東京都への通勤通学者比率」(千葉県調べ)によれば、市川市は46.8%、浦安市は48.6%、松戸市は35.7%が千葉都民だという。そのため、千葉県と東京都心を結ぶ鉄道の利便性には大きな関心が集まる。ライターの小川裕夫氏が、2024年春のダイヤ改正によって対照的な反響を起こしたJR京葉線と都営新宿線の快速や急行と呼ばれる速達列車の運行方針についてレポートする。
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一般的に、鉄道のダイヤ改正が世間から大きな注目を浴びることは少ない。沿線住民や利用者の多くは大幅な減便もしくは廃線にならない限り気にすることはない。ダイヤ改正で列車の運転本数が増減しても、多くの人たちが鉄道ダイヤに合わせてライフスタイルを柔軟に変えている。
しかし、2024年3月に実施されるダイヤ改正は異例とも思えるほど世間から大きな注目を集めた。その発端となったのは、2023年12月にJR東日本千葉支社が京葉線の通勤快速廃止と平日の快速をデータイム(10時~15時台)のみの運転へと変更することを発表したからだ。
京葉線のダイヤ改正は千葉県や千葉市を中心に沿線自治体や経済団体などからも反発を受け、JR東日本千葉支社はダイヤ改正の見直しを実施。異例の見直しによって、快速が復活するという事態が起きた。少しだけ快速が復活することになったものの、通勤快速がなくなり、快速も大幅に削減される。これに千葉県や千葉市、沿線自治体は納得していない。引き続き、ダイヤ改正を撤回するように要望を続けている。
利用率が思わしくなかった急行
JR東日本千葉支社が最初に発表したダイヤ改正に対して「千葉を軽視している」という非難の声も少なくなかった。一方、急行の運転本数を増やして千葉とのアクセス強化を図ろうとしているのが東京都交通局だ。東京都交通局は地下鉄4路線を運行する鉄道事業者で、3月のダイヤ改正で東京都新宿区に所在する新宿駅から千葉県市川市に所在する本八幡駅を結ぶ新宿線で運行されている急行を増発する予定を発表した。
「新宿線は以前から急行運転を実施していましたが、利用率が思わしくなかったことから2023年3月のダイヤ改正で急行の運転本数を大幅に削減しました。昨年のダイヤ改正で急行の運転本数を削減しても、特に沿線自治体や利用者からの反響はありませんでした」と話すのは東京都交通局電車部運輸課の担当者だ。