敦賀駅の顔ともいえる西口は新幹線の延伸開業に合わせて駅前に商業施設も整備された(撮影:小川裕夫)
なぜ、新幹線ホームをせめて2階に設置できなかったのか。どうしてこんな構造になってしまったのか。それは敦賀駅のすぐ北東に高架の敦賀バイパス(国道8号線)があり、北陸新幹線の高架線はこれをオーバークロスしなければ建設できなかったからだ。
そうした経緯から、敦賀駅の新幹線駅舎の高さは12階建て相当になった。約37メートル高さに位置する新幹線ホームと地上に位置する在来線ホームを移動するのは一苦労で、JRはホーム間の移動には約8分の所要時間が必要とアナウンスしている。
実際に大人が歩くと3~4分程度で移動できるようだが、利用客には子供を連れた家族や大きな荷物を抱えた観光客なども少なくない。そうしたスムーズに移動できない利用者を考慮すると、やはり敦賀駅は使い勝手が悪いと言わざるを得ない。
自由通路がない敦賀駅東西を行き来するには回り道で約20分
新幹線と在来線を乗り継ぐ利用客は、そのまま敦賀駅を通過する。下車するわけではないから、敦賀市は乗り換えの大変さを大きな課題としては受け止めていないかもしれない。それよりも敦賀市が問題と認識しているのが敦賀駅に東西出口を結ぶ自由通路がない点だ。
「敦賀市は駅の西側に市街地が広がっていますので、これまでは駅の出口も西口しかありませんでした。新幹線の延伸開業に合わせて東口が新設されましたが、東西を結ぶ自由通路はありません。駅の東西を行き来するためには入場券を購入して改札内を通り抜けるか、もしくは駅から外に出て、回り道をしてもらうことになります。回り道は徒歩で約20分かかります」と困惑するのは敦賀市観光部新幹線誘客課の担当者だ。
敦賀駅の市街地は西口に広がり、多くの観光客・来街者でにぎわう。その一方、東口は住宅や工場などが並ぶ。
観光客や来街者が東口側へ足を運ぶことは考えづらいが、出口を間違って駅を出てしまう観光客もいるだろう。また、東口で用事を済ませて時間が余ったから街をぶらっと散策してみようと考えるビジネスマンだっている。
敦賀駅の東口には新幹線開業で観光客が増えることを見込んで、観光バスも駐車できるような大型の駐車場も整備された。観光バスは西口で観光客を降ろしてから東口で待機することになる。それだったら不便は感じない。
しかし、バス車内に財布やスマホなどを忘れてしまうことだってある。東西自由通路がないと、東口で待機している観光バスに忘れ物を取りに戻ることができない。こうした駅の構造は観光需要を遠ざける一因にもなり得る。