敦賀駅の東西出口を連絡する無料のシャトルバス。4月から8月末まで土日祝日とGW・夏休み期間などの繁忙期に運行(撮影:小川裕夫)
筆者も敦賀駅に降り立ち、実際に西口から東口へと徒歩で移動してみた。移動に時間を要したことは言うまでもないが、道中は歩車分離されていない区間もあって安全面においても東西自由通路の必要性を感じた。
敦賀市も北陸新幹線が開業する前に、約300メートルの東西自由通路を建設することを検討したが、
「駅東西の自由通路は、整備費だけでも最低で50億円との試算が出されました。市議会でも自由通路の設置を議論しましたが、莫大な工費になるのに費用対効果は薄く、自由通路の整備は見送られました」(同)
敦賀駅は、独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機が設計を担当しており、敦賀市が駅舎の設計に関与できる裁量は小さかった。敦賀市は工費の問題で自由通路の開設が難しいのなら、改札内で東西の行き来ができるようにしてほしいとJR西日本へと要望している。
「通常のきっぷだと、不正乗車の観点から改札内を自由に行き来できるようにすることは難しいかもしれません。しかし、IC乗車券ならデータの書き込みができますので、そうした不正乗車は防げます。これならコンピューターの設定を変更するといった費用は発生しますが、自由通路の整備費よりも安く済みます。だから、”IC乗車券利用に限り”という条件で東西自由通路の行き来ができるようにお願いしたのです。しかし、JR側からは『東西を行き来する需要は多くないのではないか?』と疑義を呈されて、この案も暗礁に乗り上げています」(同)
敦賀市は駅東西を誤って出てしまった観光客への対策や東西の移動需要がどれほどあるのかを計測する目的も含めて、北陸新幹線の延伸開業時から駅東西を結ぶ無料の東西連絡バスの運行を開始した。
「駅東西を結ぶバスは約20分間隔で駅の西口と東口を行き来しますが、開業した3月は8時から20時まで毎日運行しました。4月からは土日祝日、そしてゴールデンウィークと夏休みといった繁忙期のみの運行になります。3月の集計では、東西連絡バスの利用者は多い日で150人を超えています。バスの運行は8月末日まで続け、そのデータをもとにして駅東西を行き来する需要がどれほどあるのかを判断します。データが揃っても、すぐJR側に対して『IC乗車券利用に限り、東西自由通路の行き来を認めてほしい』と再要望するという話ではありませんが、需要がある・ないを把握するために実施しています」(同)