ひじきの鉄分量も減少(写真/PIXTA)

ひじきの鉄分量も減少(写真/PIXTA)

 農作物のほかにも、栄養価に大きく変化があった「健康食」は存在する。

 医師の柳澤綾子さんはかつて“鉄分の王様”といわれたひじきは、65年の間で鉄分量が9分の1に減っていると話す。

「1950年版の『日本食品標準成分表』(文部科学省)では、干しひじき100gあたり55mg含まれていた鉄分が、2015年の改訂で6.2mgに修正されました。

 理由として挙げられるのは干しひじきの製造過程で、ひじきを煮る釜が鉄製からステンレス製に変わったこと。つまり、ひじき自体に鉄分は含まれていないのです。同様の理由で、切り干し大根からも大幅に鉄分が減っています」

 大規模な調査や臨床によって効果が否定されつつある「健康食」もある。子供の成長に欠かせない栄養源の代名詞だった牛乳がその筆頭だ。

「日本人の9割が牛乳に含まれる乳糖を分解できない『乳糖不耐症』だといわれています。そもそも、乳製品を摂ると骨が丈夫になるという明らかなデータはない。

 一方で乳製品を多く摂っている人は、脳卒中や心筋梗塞など血管系疾患の発症率と死亡率が低いという調査結果はあるものの、予防と直結するとは言いがたいです」(柳澤さん)

 真島消化器クリニック院長の真島康雄さんは納豆の食べすぎに警鐘を鳴らす。

「納豆は植物性たんぱく質が豊富で体にいいと思っている人も多いですが、実は脂質も多い。過剰に摂取すると血管内に蓄積し、血栓の原因になるプラークのもとになることが明らかになりました。

 特に動脈硬化のリスクが高い人は1週間に2分の1〜1パックくらいに留めること。納豆菌は強力なので、過剰摂取は腸内環境のバランスの乱れも招きます」

 DHAやEPAが豊富とされる青魚も同様だ。

「私自身10年ほど前までは、魚は体にいいからと患者さんに制限なく食べてもらっていました。しかし、日々生活習慣病の診察をしていると、魚が好きでよく食べている人はそうでない人よりもプラークがたまりやすいことがわかってきた。

 魚の脂には血流の改善をはじめとしてあらゆる健康効果のあるEPAやDHAを含有していますが、その割合は1〜2割程度。実際、特にさばを好んで食べて動脈硬化が進行した患者さんもいるので、脂がのった青魚は食べすぎに注意です」(真島さん・以下同)

 少量ならば“良薬”でも、大量に摂れば害を及ぼす健康食はほかにもある。

「老化防止、血圧低下などカカオポリフェノールの効果が期待できるチョコレートやビタミンCが豊富なレモン果汁はその代表格。

 実はカカオはかなり脂質が高く、70%や80%など高カカオのチョコレートは、脂質の摂りすぎでポリフェノールの効果を相殺し、動脈硬化の原因になります。食べるならカカオ低含有量のものを選んでください。

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン