「涙」と「ファッション」
ヒョヌ役のキム・スヒョン(36才)は、かつて“新・韓流四天王”と呼ばれ、彼が出演する作品に外れなしといわれる。23才で主演した『太陽を抱く月』(2012年1月〜)で頭角を現すと、『星から来たあなた』(2013年12月〜)や『サイコだけど大丈夫』(2020年6月〜)で人気を不動のものにした。
「キム・スヒョンは“泣きの天才”と呼ばれるほど涙を流すシーンに定評があります。ドラマのタイトルは『涙の女王』ですが、全16話にもかかわらず、キム・スヒョンの泣くシーンは全部で約40回。それぞれにさまざまな感情が入り交じっている彼の涙に注目です」(前出・田名部さん)
ちなみに、作中ではキム・スヒョンの筋骨隆々とした上半身が披露される瞬間もある。対してヒロインのヘインを演じたキム・ジウォン(31才)も、『太陽の末裔』(2016年2月〜)や『私の解放日誌』(2022年4月〜)などでの演技力が際立ち、今作でも圧倒的な美しさを見せている。物語に彩りを添えたのは、財閥令嬢役であるキム・ジウォンの華やかなファッションだ。
「プラダ、シャネル、グッチ、セリーヌ、サンローランにディオール……ハイブランドのスーツやドレスを軽快に着こなすキム・ジウォンのファッションをまとめた動画が、ネット上ですでに100万回以上再生されています。『愛の不時着』でもヒロインの衣装が話題になり、当時ファッション誌で特集も組まれました。視聴者にとっては、その着こなしも楽しみの1つと言えるでしょう」(前出・田名部さん)
《お願いだから消えて》
「主演2人の相性のよさもさることながら、脇を固めたキャスティング陣は、韓国ドラマで重要な役を務めることが多い俳優ばかりという豪華さです。日本で話題を呼んだ『VIVANT』(TBS系・2023年)に通じるものがあると感じました」(前出・康さん)
特に目が離せなかったと、多くのファンが振り返るのは、投資家のウンソンを演じたパク・ソンフン(39才)だ。ウンソンはふたりの間に割って入ろうとするばかりか、大財閥グループの乗っ取りまで画策する。
「主人公の恋敵として、最後の最後まで憎まれ役に徹しました。放送中にはあまりの熱演に、視聴者から本人のSNSを通じて《お願いだからふたりの間から消えて》というメッセージまで届いたそうです。ただ、作中では彼が悪役に転じてしまった悲しい背景や、さまざまな悪行に対する報いも描かれたことで、愛情の伝え方を間違っていただけで、彼にとっては“純愛”だったということが伝わり涙を誘いました」(前出・田名部さん)