ぼくの負けず嫌いなところは格之進とも重なっていた
國村さんがぼくとの出会いは特別なものだとコメントしてくださったそうですが、その言葉をそっくりそのままぼくのコメントとして差し替えたいぐらい。ご一緒していてとても刺激的だし、やっていてものすごく楽しいんです。流れるようにせりふをおっしゃられて、台本を手にして活字を追っている感じとは全然違うんです。だから事前にト書きを読んだり、せりふを一言一言追ったり、時には台本を読んでいかなかったとしてもいいんじゃないかとさえ思わせてくださる。これ、あんまり言うと怒られちゃうかもしれないんですけど(苦笑)、30代後半ぐらいから役作りというものをあまりしなくなったぼくに、國村さんはその場やそのときの空気を感じさせながらいつも役にならせてくださる存在ですね。
ただ今回、囲碁に関してはズブの素人だったので碁石の持ち方とか打ち方とかはものすごく練習しました。実はぼくのスタンドイン(撮影前の準備作業のため俳優の代理)をする女の子がいて、彼女がものすごくうまかったの。その様子を見ていたらすごく悔しくなっちゃって、これは負けられないとホテルで夜な夜な練習していましたね。そういうぼくの負けず嫌いなところは格之進の性格とも重なっている気がして好きなところです。
一昨年、映画『サバカン SABAKAN』で『女性セブン』さんに取材してもらったときには「昔、子供だった大人に見てほしい」と言いましたっけ? う〜ん、今回はどうだろうなぁ……。まずは若いかたたちに見てもらいたいです。時代劇だし、なくなりつつある昔の人の心や、古きよき時代のあれこれになじみがあまりない世代に伝わるといいなと思います。
この映画がきっかけで国内外で囲碁ブームになることを関係者のかたたちが期待されているそうですね。ちゃんと覚えれば、ものすごくおもしろいって聞きますし、ひとまず碁石を置く場所と所作は一生懸命に覚えたんですが、あんなに集中できるかなぁ……(笑い)。
え? 山田さんは囲碁教室に通われていたお父さんの影響もあって『囲碁であそぼ!』というスマホゲームをダウンロードしたの? 影響されやすいなぁ(笑い)。へ〜、じゃあぼくは山田さんが女流棋士になれるよう陰ながら応援していますね。
そして『女性セブン』読者の皆さん、ぜひ『碁盤斬り』を劇場でご覧になってください! お待ちしています。
構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ〜テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。
撮影/田中智久 スタリイスト/細見佳代(ZEN creative) ヘアメイク/荒川英亮
映画『碁盤斬り』 5月17日(金)公開
浪人・柳田格之進(草なぎ剛)は身に覚えのない罪を着せられたうえに妻を失い、故郷の彦根藩を追われ、娘のお絹(清原果耶)とともに江戸の貧乏長屋で暮らしている。かねて嗜む囲碁にもその実直さが表れ、嘘偽りのない勝負を心がけている。ある日、旧知の藩士により悲劇の冤罪事件の真相を知らされた格之進とお絹は、復讐を決意。お絹は仇討ち決行のため、自らが犠牲になる道を選び……。
※女性セブン2024年5月23日号