理事が交代すると、業者が変わる
当初はスイーツパン(メープル味、小豆味の2種類)、横綱食パン、北サブレの4種類の販売だったが、同年9月場所にはマカロン、力士かまぼこ、焼き芋が加えられた。その後も販売品目が増え、スイーツパン抹茶味、スイーツ親方の白星小餅、湯豆腐のたれ、親方ちゃんねるケトルパップコーンが新発売され、全部で10種類を超えていた。
午前11時からオープンし、午後3時頃には芝田山親方が売り場にやってきてスイーツパンと横綱食パンが売り切れるまで店頭に立つスタイル。今年の1月場所でも芝田山親方はビスケットのつかみ取り(300円)を担当していた。相撲担当記者はこう話す。
「最初の頃は照れくさそうに座っているだけだったが、その後はエプロンをつけて積極的に販売していた。芝田山親方が店頭に立つと黒山の人だかりとなり、1時間ほどでスイーツパンと横綱食パンは売り切れていた」
そんな人気コーナーが消えてしまったわけだが、「国技館内の店などを見ると、その時その時の相撲協会内の権力図がよくわかるのです」と話すのは、中堅の部屋付き親方である。
「理事が交代した時に出入り業者や飲食店が変わるというのはよくある。特に地方場所担当の理事が変わると新規業者が参入してくる。桟敷席の骨組みの組立解体、あるいは保管場所における利権争いは激しい。売店や食堂についても同様。理事長や事業部長、総合企画部長といった協会常駐に理事たちの判断ひとつで変わることがあるし、相撲茶屋などを運営する国技館サービスが仕入れるお菓子や瀬戸物といったものについても、事業部長や理事長のチェックが入る。
2000年代後半から国技館内にあった食堂は、参入した業者の経営者が当時の理事長の懐刀といわれた事業部長の支援者だったことは有名な話。外部理事の選定や国技館の改修工事にも影響力があったとされている。かつてはかなり露骨なやり方がありました」