横綱、大関が初日から総崩れで大荒れの5月場所。そのウラで、八角理事長(元横綱・北勝海)を支えてきた重鎮の退職により、相撲協会内部にも“嵐”が到来している。
元横綱・白鵬の宮城野親方の窮地が続いている。弟子の暴力問題で部屋の当面閉鎖が決まり、20人の所属力士とともに伊勢ヶ濱部屋へ転籍となった。
「旧・宮城野部屋の力士たちが気懸かりな状況です。転籍時点で1人が引退し、残り19人が番付表に載っているが、10人が今場所を休場。古参力士を含めて多くが引退の意向とされます。伯桜鵬や天照鵬、3月場所で初土俵を踏んだ力士たちは続けるが、この先も1人、2人と欠けていくのではないか」(担当記者)
部屋の復活となると、「5年、10年先といったスパンになる可能性もある」(若手親方)という困難な道のりとされてきた。
ただ、ここにきて状況が大きく変わる動きが表面化した。5月11日、67歳の尾車親方(元大関・琴風)の退職が発表されたのだ。再雇用の参与として70歳まで相撲協会に残れたはずだが、3年を残して退くことになった。
ある部屋付きの中堅親方は「宮城野親方への厳罰を先頭に立って進めてきたのが尾車親方。この退職で、宮城野の今後の処遇に影響が出る可能性もある」と話すのだ。
「北の富士さんのように…」
尾車親方の突然の退職発表をめぐっては、様々な情報が飛び交っている。
「表向きは『尾車』の年寄名跡を佐渡ヶ嶽部屋に戻すという理由になっている。同部屋では8年守り続けた関取の座を先場所で失った琴恵光がいる。今場所は初日から休場。場所後に引退して『尾車』を継承するとみられています。そのための退職だというのですが……」(前出・担当記者)