食品偽装されたメニューは何点かあった
提供され続けていた偽装メニュー
富輝氏は調理場の料理人が勝手に忖度して別食材を使っていたと説明した。また現在は「蟹の卵」や「うずら」を使用したオーダーは断り、客の要望によっては別の食材で代用することもあるという。
だが、取材班は富輝氏に話を聞く前に同店を訪れ、実際に偽装が疑われるメニューを食していた。店ではオーダーを断ることもなく、「蟹の卵」「うずら」の食材を代用するなどの事前の説明もなかった。料理はメニュー表通りの価格だった。
うずらの挽肉炒めと記載し豚挽肉を使用
食品偽装については「コックがやった」という富輝氏の主張を元従業員のAさんに確認すると、発言を真っ向から否定した。
「冷凍庫に保管など初めて聞いたし、そもそも蟹の卵やうづらなど、この十数年間、見たこともありませんし、仕入れすらしていません。すべて料理人がしたことにしているなんて、耳を疑いました。厨房が独断で作るなんてことはあり得ません。
蟹の卵の色も富輝社長が厨房に入って来て確認していましたし、うずらの挽肉炒めも暗黙の了解でした。儲かるメニューを売り切れなんかにするはずがありません。従業員はある意味で犠牲者です。偽装は決して許されることではありません」
かつて、脱税事件で有罪判決を受けた際に「これからは一生懸命、料理の腕を磨きたい」と、料理の道を極めることを誓っていた富輝氏。偽装疑惑と向き合う日は来るのだろうか。食のプロとしての資質が問われている。
(了。前編を読む。告発の証拠動画を見る)