韓国の40代以上を中心に幅広い世代がハマり、一大ブームを巻き起こしているのが“トロット”。どこか懐かしく、日本の演歌や昭和歌謡に通ずるメロディーで、「一度聴いたらやみつきになる」という人も多いとか。日本でも韓国での火付け役となったオーディション番組の日本版が話題になったり、日本人トロット歌手も登場し、巷で人気が広がりつつある。大ブーム到来に先駆けてトロットにハマろう!【全3回の第1回。第2回を読む】
トロットは音楽ジャンル。成立したのは、1960〜70年代。日本の古い音楽から派生した音楽といわれるが、いまやK-POPをしのぐ勢いで人気を得ているというのだが──。
「韓国といえばK-POPを思い浮かべる人が多いと思いますが、韓国には昔からトロットという独自の庶民的な音楽文化があります」と言うのは、韓国の音楽事務所「n.CHエンターテインメント」代表プロデューサーのチョン・チャンファンさん(以下「」内、チョンさん)。
「トロットは、よく韓国の演歌と言われるのですが、演歌とは似ているようで少し違います。トロットのルーツは確かに1930年代に日本の統治下にあった韓国に演歌など古い音楽が伝わり、それがベースにはなっています。
しかし、1960年代にアメリカからロックやポップミュージックが入ってきて、その後、さらに海外のさまざまなジャンルの音楽が加わり、それらの音楽にも影響を受けつつ、独自の進化を遂げてトロットという音楽文化ができたのです。演歌のようにコブシを効かせるわけでもありませんし、正直、これといった定義はありません」
1990年代初めまでは、日本の演歌のような哀愁漂うメロディーが主流だったため、トロット=中高年のものというイメージだったが2000年以降になると、K-POP全盛期に。それに伴いトロットにもアイドルが進出。ポップ調のトロットが増えていった。さらに近年はトロットに大きな革命が起きる。
「そのきっかけは、韓国で2019〜2020年にテレビ朝鮮で放送されたトロットのオーディション番組『明日はミス・トロット』と『明日はミスター・トロット』です」
この番組はプロでもアマチュアでも参加でき、しかもこれまでのK-POPオーディションと同じく応募者が歌の実力を競いながら勝ち抜いていくサバイバルオーディション方式を採用していた。