日本にも古くからトロットはあった!?
トロット歌手の第一人者であるイ・ミジャ(82才)は1960年代に日本のテレビ番組に出演し、その歌声は「韓国の美空ひばり」と呼ばれていた。また、パティ・キム(86才)は、1973年に夫婦の別れを暗示した『離別』をリリースし、韓国国内で大ヒット。この曲は日本の有線で火が付き、パティ・キムは1989年の『NHK紅白歌合戦』に出場している。
「日本でも人気を博したチョー・ヨンピル(74才)の『釜山港へ帰れ』は、発売当初はトロットではなく、韓国歌謡というジャンルでした。ただ、40年以上経ったいま、若いトロット歌手らがカバーしたこともあり、トロットとして再注目されています。名前や曲名を聞いたことがあるかたも多いのではないでしょうか」(まつもとさん)
では、どんなスターやヒット曲が誕生しているのか? 「その2」では、最新事情を紹介しよう。
いまどきのトロットは細分化している?
トロットにはこれといった定義はないものの、「さまざまなスタイルがある」と、まつもとさんは言う。
「昔ながらの哀愁を強調したものは『エレジートロット』と呼ばれています。これはどこか演歌っぽい雰囲気があるのが特徴です。次に8分の12拍子が基本の『ブルーストロット』は、文字通り、ブルース風の曲調。ソウルフルなサウンドに仕上げた『R&Bトロット』も代表的なスタイルです。なかでも2000年代から主流となったのが『セミトロット』。これは軽やかさを重視したポップなサウンドが特徴です」(まつもとさん)。
(第2回へ続く)
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2024年5月30日号