──ご夫婦で朗読会を開かれたこともありますね。
「あぁ、ありましたね。都内にある老舗カフェで、フランツ・カフカ(20世紀を代表する小説家)を読みました。朗読は聴くのも、するのも大好きです」
──朗読ということでは、子どもたちへの読み聞かせもされているそうですね。
「仕事としてやっていたわけではないんです。私の子どもたちが通っていた小学校が読書教育に力を入れていまして、大きな図書館があるし、司書さんもちゃんといる。そんななか、始業前の15分間に読み聞かせを有志でやってほしいと。子どもが通っていた足掛け10年間、父母として参加しました」
──中原さんに読み聞かせをしてもらえるなんて、とても贅沢な話です。
「子どもたちはもちろんですけど、一緒に参加している保護者の方々も、私の仕事のことはご存知なかったんじゃないかなぁと思います。こんな仕事をしていながら言うのも変なんですけど、表で目立つことがあまり得意じゃないんです。自分から『俳優をやっています』というのも苦手で。インタビューに答えるのも得意じゃないので、今日ここへ来るときもすごく緊張しました(笑)」
──朗読されるのは、学校の図書館にある絵本や児童書ですか?
「選書も私たちに任されているので、図書館からお借りすることもありますし、自分がいいと思ったものを持っていくことも。当然、読み聞かせればなんでもいいというわけではなくて、とっても感性が豊かで、柔らかい心を持ったあの頃の子どもたちに、どんな本を読んで聞かせてあげるのかはすごく重要なんです」
──学校側からの要望もあるのでしょうか。
「『日本の民話や昔話を、ぜひ読んであげて欲しい』と。日本の昔の暮らしを伝える機会が、今は本当に少ないそうなんです。本に触れ、『広い世界を知るきっかけを作ってあげてください』と言われました。ひいては、長い文章をしっかりと読み込める力を培わせたいと。
読む力というのはひとつのスキルなので、小さい頃から本に触れていないと、受験や大学などで長い論文が読み込めないと思うんですよね。『子どもの頃の読み聞かせは、読解力を身につけるための大事な入口なんです』って、すごい熱意を感じました(笑)」