「このままだと死んじゃいますよ」渡米後に日本で味わった“どん底”
──直感と好奇心を信じて動いていた頃に、立ち返ることができたわけですね。
「そこからいろんなフェスを見るために世界中を旅して回り、フェスだけでなく各地の文化や人々に触れ、さらに自分が開かれていきました。ただ、日本に帰ってきても、すぐに仕事があるわけではなく、新聞配達や古着のバイヤーなどもしてみたのですが、『元芸能人』という過去が足かせにもなって、なかなかうまくいきませんでした。貯金も底をつき、次第に苛立っていくなかで、知人と揉め事を起こしたり、付き合っていた彼女に三行半を突きつけられたりと、負のスパイラルに入っていくわけです」
──体調を崩されたのもその頃ですか?
「そうですね。気づいたら実家に引きこもり、無理やり喉を通すご飯とトイレのときだけ起きるといった生活。毎日、死ぬことばかり考えていました。今思えば、鬱に罹っていたんだと思います。そんなときふと病院に行ったら、肝機能障害と診断されて……」
──肝機能障害?
「お酒を飲んでいたわけでもないのに。病院の先生に『なにか思い悩むことはありますか?』と聞かれ、『いや、思い悩むことしかありません』と。いわく、感情と肝臓は直結しているのだそうです。
『肝臓に症状が出るのは相当危ない。このままだと死んじゃいますよ』と言われ、そのときにドキッとしたんです。死ぬことばかり考えていたはずなのに、やっぱりまだ死にたくないと思う自分に、そこで気づかされました」
人気絶頂の裏で深い悩みを抱えて日々を過ごしていた小橋さん。後編では、健康な身体を取り戻したきっかけ、クリエイティブディレクターとして若者と向き合い続ける理由について聞いた。
(後編に続く)