技術の進化とともに、リクエストの対象プレーも広がっていくだろう。今後はストライク・ボールやハーフスイングの判定にも映像判定が導入される可能性もある。
現在、ハーフスイングについて捕手からアピールがあった場合は球審に加え、一塁や三塁の塁審から見た角度で判定している。リクエスト対象となればどの角度からの映像で確認するかという基準を明確にする必要があるし、そのためのカメラの設置も必要になる。また、スピーディーな試合進行を妨げることにもなりかねない。
「今は映像確認を第三者ではなく、球場にいる審判団がやっている。それくらいの範囲に留めておいてもらいたいというのが本音です。ストライク・ボールまでビデオ判定するようになれば、極論をいえば審判はいらなくなってしまいますから」
(第3回に続く)
※橘高淳氏の「高」の字は正しくは「はしごだか」。『審判はつらいよ』(小学館新書)より一部抜粋・再構成
【プロフィール】
鵜飼克郎(うかい・よしろう)/1957年、兵庫県生まれ。『週刊ポスト』記者として、スポーツ、社会問題を中心に幅広く取材活動を重ね、特に野球界、角界の深奥に斬り込んだ数々のスクープで話題を集めた。主な著書に金田正一、長嶋茂雄、王貞治ら名選手 人のインタビュー集『巨人V9 50年目の真実』(小学館)、『貴の乱』、『貴乃花「角界追放劇」の全真相』(いずれも宝島社、共著)などがある。プロ野球、サッカー、柔道、大相撲など8競技のベテラン審判員の証言を集めた新刊『審判はつらいよ』(小学館新書)が5月31日に発売。