自己申告が原則のゴルフ競技だが、そのルールは複雑なうえに頻繁な改訂が行われている。競技規則をもとに大会の円滑な進行・運営を司るのが「競技委員」だ。競技委員たちは試合中に起きたトラブルに対応するだけでなく、試合後には競技委員同士で情報を共有し、判定を下すこともある。「競技委員の役割」について、JLPGAの競技委員・門川恭子氏に、新刊『審判はつらいよ』が話題の鵜飼克郎氏が話を聞いた。(文中敬称略)
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「セルフジャッジの競技」といわれるゴルフ。そのため野球やサッカーのような「審判員」は存在しない。プレー上のすべての責任はプレーヤーが負い、ペナルティも自己申告する。
他競技の「点数」に相当する「スコア」も同様だ。マーカーを務める同伴競技者がプレーを確認し、スコアもマーカーが記入する。それをプレーヤーが確認し、署名して提出することでスコアが成立する。
だが、同伴競技者がすべてのプレーを確認できるわけではない。また、自然を相手とする競技であるため、想定外の状況も生じる。そこでゴルフ競技にはプレーヤーをサポートするために「競技委員」が存在する。
彼らはルール違反を監視・指摘するのではなく、競技中にルールに関して判断が難しい時に対応したり、ルールに関連したトラブルを未然に防いだりする役割だ。いわば競技の円滑な進行・運営を司る「立会人」ということになる。
テレビのゴルフ中継を見ていると、池ポチャした後などのプレー再開時に無線機を手にして、ドロップ位置を指示している人を見かける。彼らが競技委員である。