次々とガラスの天井を突破するヒロインへの共感と称賛がとまらない『虎に翼』。今回はひと足早く、ヒロインを待ち受ける別れと出会いをお届けする。これを読めば、朝のひとときが10倍楽しくなること間違いなし。ただし、ネタバレにはご注意を。
「寅ちゃんができることは、寅ちゃんの好きに生きることです」。亡き夫から投げかけられたこのせりふを、ヒロインと同じ気持ちで噛みしめ、朝から頬を濡らした視聴者は少なくないだろう。4月から始まったNHK連続テレビ小説『虎に翼』が大好評だ。視聴率はスタート以来右肩上がりで、5月31日の第45回には視聴率18%を記録。早くも前作『ブギウギ』の最高視聴率(関東地区)を上回った。
お茶の間を魅了しているのは、まだ男尊女卑の風潮が強かった昭和初期に、逞しく夢を追い続けるヒロイン・猪爪寅子の生き様だろう。寅子のモデルは、日本初の女性弁護士となり、後に裁判官となった実在の人物・三淵嘉子さんである。
「今作は例年の作品に比べて、20代、30代の若い女性視聴者が多いといわれています。男女平等が叫ばれて久しい現代社会でも、多くの女性たちが息苦しさを感じていて、現役世代の共感が視聴者層にあらわれているのでしょう」(NHK関係者)
法律用語を駆使しなければならない難しい役どころを、自然な演技でこなす主演の伊藤沙莉(30才)の評価もうなぎのぼりである。
「寅子が女性を阻む壁を感じたときに発する『はて?』という決めぜりふについて、伊藤さんは『寅子の悶々とした気持ちとリンクしているので、役を理解する苦労というものはなかった』と語っています。9才で子役デビューしながらも下積み時代が長かった伊藤さんだからこそ、寅子にシンクロできているのでしょう」(前出・NHK関係者)