2023年に全国の15~79歳の男女を対象に調査したところ、全体で44%、10~20代では6割超が歩きスマホをしていることが分かった(NTTドコモのモバイル社会研究所調べ)。だが、当たり前のこととして歩きスマホを容認している人は少ないだろう。人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が、「歩きスマホ」をめぐる困惑と苦悩についてレポートする。
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「ぶつかって来られると痛いし腹が立つし、おまけにこっちが睨み返されます。自分がスマホに夢中になってぶつかってきたのに逆ギレですよ」
都心の繁華街、ターミナル駅構内で後ろからぶつかりを受けた40代会社員が語る。
彼はホームで普通に待っていただけなのに後ろからぶつかって来られては防ぎようがない、ましてや相手はスマホに夢中、いわゆる「歩きスマホ」というやつだ。
「前なんか見てないんでしょうね。正直、あのホームの混雑でスマホとにらめっこで歩くってのがどうかと思いますけど、そんなのばっかりなんで『痛いなあ』『腹立つなあ』と思うしかなかったです」
他の呼称としては「ながらスマホ」とも呼ばれ、自動車にせよ自転車にせよ「運転しながら」の明確な罰則のある違反ばかりが取り沙汰されるが、実のところこの「歩きながら」という「徒歩」による「歩きスマホ」もまた、年々社会問題となりつつある。
とくにネットの声、SNSなどは彼のようにスマホ操作の歩行者がぶつかってきた、逆ギレされたなどの声が多数寄せられている。それこそ、毎日のように。読者のみなさんの中でも迷惑に思ったり、実際に歩きスマホの被害に遭ったりの経験があるかもしれない。
罰則があるわけじゃないですから
ゲーム情報を中心に扱うネットメディアの編集者の話。
「昔のガラケー時代から問題ではありましたが、ガラケーではどちらかというと通話に関するトラブルが多かったように思います。スマホになってからパソコンを持ち歩けるのと同じことになりましたから、過集中の状態で視聴、プレイしながら歩く人は増えたでしょうね。バッテリーの持ちもよくなりましたし。最近でも『ポケモンGO』のイベントでトラブルがありました」