新型コロナの感染拡大で外出自粛になった当初、自宅の大掃除に取りかかり、そののち部屋の模様替えやガーデニング、DIYに取り組む人が目立った。玄関に粗大ゴミを出す住人(イメージ、時事通信フォト)

新型コロナの感染拡大で外出自粛になった当初、自宅の大掃除に取りかかり、そののち部屋の模様替えやガーデニング、DIYに取り組む人が目立った。玄関に粗大ゴミを出す住人(イメージ、時事通信フォト)

「最初は、台所とかトイレ、洗面所のスポンジ置きや歯ブラシ置きが急に全部変わったな、くらいにしか思っていなかったんです。それにとどまらず、どんどん100均の商品が増えていくんですよ。これ必要なの?と聞いても、便利でしょ?と笑顔で返してくるんです」(仲野さん)

 母親はそれだけに飽き足らず、台所やトイレのパイプ周りを粘土状のもので塗り固めたりもしたが、それらの情報は全て、母親がSNS動画で「学んだ」ことだった。100円ショップで売られている便利アイテムを延々と紹介する若いユーチューバーの動画、工務店勤務を自称するユーチューバーによる「害虫の侵入を防ぐ方法」などといった動画に影響されていたのだ。

「母親が動画にハマったのは、やっぱりコロナ禍で外に出られない生活が続いたからだと思います。100均の商品が家に溢れるくらいならまだ我慢ができました。ただ、母と、母に指示された父が見よう見まねでやった水回りの”改修”のせいで、排水がうまくいかなくなり、結局業者を呼んで修理をしてもらいました。それだけで10万近くかかっているんです」(仲野さん)

 仲野さんの父母が参考にしたユーチューバーが、次から次へと紹介するお手軽DIYのようなもので住み心地を改善させる動画は、その動画の中とまったく同じ条件の環境にある人にとっては有益だったかもしれない。だが、自分たちの環境は動画と同じなのか、我が家はそのユーチューバーがすすめるような改善を必要としているのか、見極める必要はある。例えば、100均に行ったところで、便利だからと次から次に、生活に必要かどうかを考えず買うことは愚かだと誰もが理解できる。だが、次から次へと新しい動画がアップされてくることに振り回され、あまりに多くの情報がありすぎて、仲野さんの母や父は自分にとって有益で、実践できるものなのか理解できていなかったというわけだ。

ネットには書いてあった、と譲らずクレーマーになった夫

 動画で薦めている情報が真実であっても、その成立する条件を理解せず実行に移したところで、期待した成果を得られる可能性はゼロに近い。動画では語られていない背景も理解する必要があったのに、それをせずに物事がうまくゆかず、情報を受け取った側が「騙された」とすら感じてしまい、大きなトラブルに発展することもある。茨城県在住の主婦・藤森愛子さん(仮名・50代)が自身の窮状を訴える。

「自宅のフルリフォームをしたんですが、リフォームをしたらさまざまな名目で補助金がもらえるというSNSの書き込みを夫が見つけてきたんです。エコな水栓やお風呂に変えたり、指定の建材を使えば100万円近くもらえるらしく、ふたりで小躍りをしました。その後、役所に電話をかけて確認したんですが、私たちが想定していた補助はほぼ受けられないという答えでした」(藤森さん)

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン