プラスチックの主な製品と製品
不織布マスクは吸い込むリスク増
マイクロプラスチックが入り込むのは食品の中だけではない。早稲田大学創造理工学部教授の大河内博さんは、大気中に浮遊するマイクロプラスチックの問題を指摘する。
「特に交通量が多い道路沿いはタイヤや道路塗料などの摩耗粉塵が多い。肥料を被覆する『マイクロカプセル』や農業用マルチフィルム、ベランダなど屋外に放置されたプラ製品、人工芝や衣服なども大気中マイクロプラスチックの発生源になるうえ、中国で発生したマイクロプラスチックが越境大気汚染物質として日本に運ばれてくる可能性もあります」
特に大気中マイクロプラスチックは、人体に深刻なダメージを与える恐れがあると大河内さんは続ける。
「食べ物や飲み物で摂取したマイクロプラスチックはある程度は自然に体外に排出されますが、呼吸によって肺の奥(肺胞)まで吸い込んだものはなかなか排出されません。食べ物や飲み物はプラスチックに接触していないものを選べますが、空気中のマイクロプラスチックは目に見えないので危ないと思わない。そのうえ人は1日2万回以上呼吸するので、プラスチックを“吸う”リスクは“食べる”や“飲む”を上回ります」
みえ呼吸嚥下リハビリクリニック院長の井上登太さんは「喘息」と「喫煙」がリスクを増大させると語る。
「喘息持ちの人と喫煙者は肺胞や気管支にある繊毛の機能が弱く、肺に入った異物を排出する力が弱い。そうした人がマイクロプラスチックを吸い込むと、肺内にとどまりやすいと考えられます。喘息がある人は薬で炎症を抑え、喫煙者は何よりも禁煙することが望ましい」
取り込むリスクを最大限に減らしたうえで、危険なプラスチックを「吸わない」ためにはどうすればいいか。すぐに思いつくのはマスクの着用だが、高田さんは「不織布マスクはNG」と語る。
「不織布マスク自体にマイクロプラスチックが含まれるので、着用しているだけでそれらを吸い込むリスクがあります。そのため私は外出する際はコットンの布マスクを使用しています」(高田さん・以下同)