大気中を漂うプラスチック
気をつけるべきは外出中だけではない。「屋外」よりも「屋内」の方が危険だと高田さんは話す。
「最新の研究によれば、屋外より屋内の方が呼吸によって取り込むマイクロプラスチック微粒子の数が多かった。洋服や絨毯などの化学繊維、合成洗剤や柔軟剤などを包むマイクロカプセルなど、室内には多様なマイクロプラスチックが浮遊していることがその理由だと考えられます」
米ボストン在住の内科医・大西睦子さんは、除去するために「毎日の家事」がポイントと指摘する。
「マイクロプラスチックは部屋の片隅のほこりと混ざって空気中を漂うことが多い。小さな粒子を捕集するHEPAフィルター付きの掃除機を使ってこまめに掃除をすることが大事です。洗濯機にもマイクロファイバーをキャッチするフィルターを取りつけましょう」
大河内さんは「植物」に期待を寄せる。
「私たちの研究では、植物の葉がかなりの量のマイクロプラスチックを捕捉することがわかりました。例えば道路に面した家なら、道路側から空気が家の中に直接入らないよう植栽すれば、室内へのマイクロプラスチックの侵入を防げます。ただし、ベランダにプラスチックのプランターを放置するのはNGです。劣化してマイクロプラスチックとなり、飛散したり、家の中に入ってくる恐れがあります」
あらゆる手段を駆使してマイクロプラスチックをシャットアウトしつつ、プラスチックのハンガーや洗濯ばさみはステンレス製に変えるなどして「脱プラスチック」をめざしたい。その際「プラ」の種類にも注意して選ぶべし。プラスチックには「ポリプロピレン(PP)」「ポリスチレン(PS)」「ポリエチレン(PE)」などがある。
「このうち、ストローやプリンカップなどに使われるポリプロピレンと、発泡スチロールや食品用トレーなどに使われるポリスチレンは特に劣化しやすく、生殖に悪影響のある添加剤も多く入っているので、なるべく使用しないことが大切です。プラの種類はパッケージに記されています」(高田さん)
マイクロプラスチックに対峙するべく、できることから始めたい。
※女性セブン2024年6月20日号