完璧主義ゆえの失敗への恐れ
外国ご訪問前の記者会見の内容は、ご訪問に対する期待や、訪問先への個人的な思いなど多岐にわたる。国民への発信だけでなく、訪問先へ向けた“広報”の意味合いも大きい重要な機会だ。
「記者会見の内容が現地に伝わることで歓迎ムードの高まりにもつながります。まして今回の訪問先はイギリスです。両陛下ともオックスフォード大学への留学経験があることをはじめ、語りだせばきりがないほど思い入れには枚挙にいとまがないはず。これ以上ない“復帰”の舞台だと思うのですが……」(前出・宮内庁関係者)
雅子さまが最後に会見に臨まれたのは2002年。お誕生日に際する会見および、ニュージーランド・オーストラリアご訪問前の会見で、それ以来、雅子さまの会見は実現していない。
「元来の雅子さまは記者会見に対して積極的でした。1996年、皇太子時代の陛下のお誕生日にはおふたりで会見をされるという異例の試みをされましたし、ご自身のお誕生日には毎年おひとりで会見に臨まれてきた。快活にお言葉を紡がれる雅子さまのお姿に、心を惹きつけられた国民は数知れません。
一方で、そうした雅子さまの『らしさ』を批判する声があったのも事実です。当時は世間の関心がお世継ぎ問題にあったこともあり、雅子さまがご自身の率直なお気持ちを表明することに対する風当たりは強かった。そのことが消せないトラウマとなり、会見を躊躇させている側面があるのではないでしょうか」(前出・皇室記者)
会見が難しい場合は、文書という手段もある。上皇ご夫妻はご高齢によるご負担軽減を理由に、2007年から会見ではなく文書で、外国訪問に際してご感想を発表されてきた。
「昨年のインドネシア訪問の際にも文書の公表をお願いする声がありましたが、結局、陛下がおひとりで会見に臨まれたのみで、雅子さまは会見も文書の公表もされませんでした。今回も同様の対応が予定されているようです。ご出発前に負荷がかかることで、訪英自体に支障があってはならないと宮内庁も及び腰なのでしょう」(前出・皇室記者)
雅子さまご自身が恐れられているのは「会見キャンセル」という事態に陥ることだという。
「雅子さまの行事への急な参加が多いのは、“予定をキャンセルすることを避けたい”という理由からでしょう。今回に照らせば、同席される予定の記者会見への参加がかなわなくなり、周囲に迷惑をかけてしまうような状況を極力避けたいというご意向だといいます。完璧主義なところのある雅子さまらしいご判断ともいえますが、宮内庁では、あまりに慎重すぎるのではないかという声も散見されます」(前出・宮内庁関係者)