西村は「審判と選手」の関係をこう表現する。
「私は選手たちを常にリスペクトしていますが、それが返ってくることは期待していません。判定が違えば“あの審判はダメだ”と思われるでしょうし、判定が正しければ“よく見てくれていた”と信頼される。この信頼を積み上げていくことで、お互いにリスペクトし合う関係が理想です。そうなれば選手は判定を審判に任せて試合に集中できる。それが最高のゲームをつくり、審判としても“最高のマネジメントだった”ということになるのだと思います」
(第6回に続く)
※『審判はつらいよ』(小学館新書)より一部抜粋・再構成
【プロフィール】
鵜飼克郎(うかい・よしろう)/1957年、兵庫県生まれ。『週刊ポスト』記者として、スポーツ、社会問題を中心に幅広く取材活動を重ね、特に野球界、角界の深奥に斬り込んだ数々のスクープで話題を集めた。主な著書に金田正一、長嶋茂雄、王貞治ら名選手 人のインタビュー集『巨人V9 50年目の真実』(小学館)、『貴の乱』、『貴乃花「角界追放劇」の全真相』(いずれも宝島社、共著)などがある。サッカーをはじめプロ野球、柔道、大相撲など8競技のベテラン審判員の証言を集めた新刊『審判はつらいよ』(小学館新書)が好評発売中。