ソファに座って話す女性

トラブル解決のために必要だと考えることを語る岸田さん(写真/五十嵐美弥)

「ものすごく難しいことですが、仕組みを変えないといけないですよね。まずみんな、自分が責任を感じられない仕組みがよくない。責められている人の気持ちにいったんなってみるというのも大事じゃないでしょうか。

『わかるわかる、すべてがあなたのせいじゃないと思うよね、でもさ』っていう。現実にこういうことが起きて、私はつらかった。あなたも責められてつらかったと思うけど、あなたがおかしいと思った時点で誰かに相談しないといけないし、私の話を聞く時間はあったよね?って。ある程度腹を割って話さないと、物事は解決しない。誰かのせいよりも、仕組みのせいにしてもいいと思います。

 例えば、夫がまったく家事をしないと責めても、夫は『言われてないし、やっても褒められないし』とか、こっちにとっては謎の論理で返してきてけんかになる。それぞれの信じているものが違うから、根本的に解決するには、相手の信じている思考に入っていく。そのときは腹が立つから難しいと思うんですけど、相手の考えをいったんリスペクトしてみる。いちばんの敵だからこそ、まずはいちばんの理解者にならないと。

 互いに信じているものが違うからこそ、相手の痛みに寄り添わなければ会話も解決もできないのかなと思います。なかなか難しいですけどね」

【プロフィール】
岸田奈美(きしだなみ)/1991年生まれ。兵庫県神戸市出身。関西学院大学在学中に株式会社ミライロの創業メンバーとして加入、10年に渡り広報部長を務めたのち、作家として独立する。 Forbes 「30 UNDER 30 JAPAN 2020」選出。ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』が7月9日よりNHKで地上波放送。最新作に『国道沿いで、だいじょうぶ100回』。

取材・文/イワイユウ

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