岡田克也氏(時事通信フォト)
だが、いざ代表に就任すると、メッキが剥がれていったようだ。同党現役幹部の1人が匿名を条件に語る。
「泉代表は、人柄はいい。聞く耳もある。しかし、自分の意見がない。幹部の会議で政策を決める時に、『代表はどうしたいのか』と聞いても、『ここにいるみんなで決めよう』と言うばかり。代表なのだから『オレはこうしたい』と言ってくれたら、みんなその方向で考えるのに、その意見がない。政策へのパッションがあまりに足りないと感じる」
それが立憲民主党の政策アピールの弱さにつながっている。元民主党代議士で国際政治経済学者の首藤信彦氏が指摘する。
「2009年の政権交代の時は、民主党はマニフェストを掲げて政権を取ればどんな政策を行なうかを具体的に国民に示した。実現できなかったことも多いが、現在の高校無償化などの道筋をつけたのは民主党でした。比較すると、立憲民主党は与党を批判、追及しているけれども自身のマニフェスト、政策がない。だから、仮に泉さんが総理になったとしても何をやるのかが判然としない。今の自民党の政治、政策とどう違うのか、それが分かりません」
やはり民主党OBで建設官僚出身の古賀一成・元代議士は泉氏の「総理の資質」を疑問視する。
「泉さんは学生時代から政治に関わり、社会人経験、サラリーマン経験がほとんどないまま若くして国政に出た。だが、総理大臣の職務は国を動かす、つまり、巨大な官僚機構を動かすことだから、社会人として人の動かし方、組織の動かし方の経験を積み、そのうえで政治家になるというキャリアが必要だと思う。
泉さんが総理として役人の行動原理、庶民の心情を踏まえた政治を行なうためには、その足らざる部分を埋めなければならない」
先輩政治家たちは、政策面でも、組織運営の面でも、泉氏は総理の要件が決定的に足りないと見ているのだ。
(第2回に続く)
※週刊ポスト2024年7月12日号