セルフチェックよりも病院の検診
さまざまな予兆に気づくスキルを身につけるとともに、早期発見のために必要なこととして名医たちが口を揃えるのは「定期的な検診」の受診だ。
「がんには1次予防、2次予防という考え方があり、1次予防はいわゆる生活習慣の改善です。早期発見のために何をするかというのが2次予防で健康診断やがん検診、人間ドックが当てはまる。症状が出る前に見つけるのがいちばんです。すい臓がんのように初期症状が出にくいがんはなおのこと。腰や肩に痛みが出ると言ってもそれはすでに進行している状態なので、少しでも痛みや疑いがあれば精密検査を受けた方がいい」(佐藤さん)
富永さんも言い添える。
「前述の通り、乳がんについては、セルフチェックで気づくしこりは大きくなっているケースが少なくありません。国は2年に1回の検診を推奨していますが、医師としては1年に1回をすすめます。
マンモグラフィは必須ですが、写らないものも2割程度あるので、エコー(超音波)検査までするといい。それで98%は見つかるといわれています。逆に、エコーでがんが見つかるというデータはないのでエコーだけというのは意味がありません。また、自治体で行うマンモグラフィは費用的な問題もあって一方向からしか撮らないことが多く、残念ながら精度は高くない。自費で病院の検診を受けてほしい」
一方で、過剰検診、過剰診断には注意が必要だ。
「体からのサインを感じとって早めに受診するのは大切ですが、医師としては受診してもらったら検査せざるを得ない。それによって身体的にも精神的にも負担がかかることもある。これはもしかしたらがんの予兆なんじゃないか、と心配しすぎてストレスになってしまう人もいます。夜も眠れないという患者さんもいますが、これは明らかなデメリット。
不安を取り除くためにも、まずは確率的に高い肺がん、大腸がん、胃がん、乳がん、前立腺がんの5大がんなど必要最低限の検診を定期的に受けましょう」(佐藤さん)
体が発信するサインに気づけるかどうか。それは、日頃から自分の体がどんな状態か知っているかどうかに大きく左右される。自分の命を守るのはほかでもない自分、予兆に気づけるのは自分だけだということを肝に銘じたい。
※女性セブン2024年7月11・18日号