2人に1人ががんにかかる時代、それに対する備えは「万が一」では間に合わない。生活習慣に気を配り、検診をしっかり受ける。そしてなにより、体からのサインに気づくことができるかどうか、そこにかかっているのだ。
歌手の藤あや子(63才)が初期の子宮体がんと診断され、子宮と卵巣の全摘出を公表したのは5月7日のこと。人間ドックを受診し、医師からの指摘で気づいたという経緯から、改めて検診の大切さが説かれる一方、2022年に食道がんに罹患した秋野暢子(67才)は仕事再開後のインタビューで「なんとなくのどに引っかかる感じがしていた」と最初の違和感を振り返った。医学博士で国際医療福祉大学病院内科学教授の一石英一郎さんが言う。
「圧倒的に多くの人ががんの初期症状に気づけません。わずかな変調、つまり“黄色信号”をどれだけ早めに感じることができるかが極めて重要です。国立がん研究センターの統計によると、年間約100万人ががんと診断されていますが、がんに罹患していることに気づいていない“隠れがん患者”は10万人ほどいるのではないかと推計されます」
がんは早期発見、早期治療がなにより重要なのは言うまでもない。ちょっとした不調だと放っておいてしまったばかりに、がんが進行し命を蝕まれることがないよう“体からの警告”について知っておきたい。