その際にまとめた資料によると、全国の医科診療所のうち診療報酬をCD-ROMや紙レセプトで請求していたのが1万5700機関、歯科医院では4万680機関にのぼる。同連合会のアンケート調査でそのうち19%が、「義務化されると廃業せざるを得ない」と回答しており、最大で「医科」の診療所が全国で2983機関、「歯科」の医院が7729機関、合計1万712機関が廃業する可能性があると試算している。

 だが、同連合会や開業医らの反対にもかかわらず、政府が方針通り今年4月からオンライン請求を義務化した途端、かつてない規模の廃業ラッシュが起き、「医療機関1万件廃業」が現実味を帯びてきた。本並氏が指摘する。

「患者にとってマイナ保険証もレセプトのオンライン請求義務化もメリットは全くない。医療機関も負担が増えるだけ。その結果、医療機関の廃業が増えて地域によっては医療が受けられない事態になりつつある。地方で医療機関がなくなれば安心して子供を産めない、育てられない。高齢者も安心して暮らせない。そんな医療限界集落、歯科医療限界集落が全国に増えています」

 患者にとってあまりに深刻な危機が、すぐそこに迫っている。

(了。前編から読む

※週刊ポスト2024年7月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平の妻・真美子さんの心の拠り所とは(写真/AFLO)
大谷翔平の妻・真美子さん、ロス暮らしでの“心の拠り所”となるのは「GLAY・TAKUROの妻」 家族ぐるみで交流、すっかり心を許し生活全般について相談する関係 
女性セブン
茗荷谷駅から徒歩1分ほどにある『丼太郎』
【牛丼並盛390円】物価高のなか『丼太郎』がチェーン店よりも安く牛丼を提供できるワケ「アルバイトは雇わずベテラン4人で」
NEWSポストセブン
逮捕された川村葉音容疑者(左)と八木原亜麻容疑者(インスタグラムより)
【北海道全裸殺人】被害者の交際相手・八木原亜麻容疑者(20)の知人が語る攻撃的な姿と「中学時代のギリギリ遊戯」
週刊ポスト
(写真/AP/AFLO)
昭和人間よ、今こそ昭和の「新語・流行語」を果敢に繰り出そう
NEWSポストセブン
車内での上皇さまとの会話を大切にされていた(8月、長野・軽井沢町。撮影/JMPA)
《車椅子2台を搭載可能》宮内庁が14年ぶりに福祉車両を購入、リハビリ中の美智子さま向けに特注か 将来的には上皇さまと揃ってご乗車の可能性
女性セブン
殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた須藤早貴被告
「ゴム手袋をつけて…」元妻・須藤早貴被告が語った紀州のドン・ファンとの“初夜” 若者口調で感情露わに【裁判員裁判】
NEWSポストセブン
大の里の九州場所前稽古に密着
【大の里「最速綱取り」への道】九州場所前稽古に密着 二所ノ関親方やライバル琴櫻とぶつかり合い、体調不安も一蹴 8年ぶり「和製横綱」誕生への期待
週刊ポスト
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《拡散された山本由伸の LA ペアルックデート動画》“元カノ”モデル とは「今も自然体で…」新たなお相手「テラハNo.1美女」との“意外な関係”
NEWSポストセブン
松本人志は引退しない
《一方的に頭を下げたわけではない》松本人志が名誉毀損訴を取り下げるに至った「内幕」と入念に準備されたコメント内容
NEWSポストセブン
離婚を発表した菊川怜(時事通信フォト)
《玉の輿婚から8年目の決断》菊川怜、実家に戻り離婚前から見せていた“シンママの覚悟”
NEWSポストセブン
退社後初となるグラビア撮影に挑戦した渡邊渚アナ
元フジテレビ・渡邊渚アナ、8月末の電撃退社後“初グラビア” 今後の活動について「モデル撮影や執筆業など色々と挑戦していきます」
週刊ポスト
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
機関紙『山口組新報』巻頭に掲載された六代目山口組・司忍組長の近影、最新号の「編集後記」に滲むヤクザ社会が直面している課題
NEWSポストセブン