その際にまとめた資料によると、全国の医科診療所のうち診療報酬をCD-ROMや紙レセプトで請求していたのが1万5700機関、歯科医院では4万680機関にのぼる。同連合会のアンケート調査でそのうち19%が、「義務化されると廃業せざるを得ない」と回答しており、最大で「医科」の診療所が全国で2983機関、「歯科」の医院が7729機関、合計1万712機関が廃業する可能性があると試算している。
だが、同連合会や開業医らの反対にもかかわらず、政府が方針通り今年4月からオンライン請求を義務化した途端、かつてない規模の廃業ラッシュが起き、「医療機関1万件廃業」が現実味を帯びてきた。本並氏が指摘する。
「患者にとってマイナ保険証もレセプトのオンライン請求義務化もメリットは全くない。医療機関も負担が増えるだけ。その結果、医療機関の廃業が増えて地域によっては医療が受けられない事態になりつつある。地方で医療機関がなくなれば安心して子供を産めない、育てられない。高齢者も安心して暮らせない。そんな医療限界集落、歯科医療限界集落が全国に増えています」
患者にとってあまりに深刻な危機が、すぐそこに迫っている。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2024年7月19・26日号