1997年のガルベスの長打率は吉村・福王より高かった
では、なぜ清原は「ガルベス」と答えたのだろうか。清原がFAで西武から移籍してきた1997年の打撃成績を比べてみよう。
■1997年の打撃成績(ガルベス・斎藤・桑田)
ガルベス:65打数15安打3本11打点 打率.231
斎藤雅樹:41打数7安打0本5打点 打率.171
桑田真澄:43打数5安打0本0打点 打率.116
この年、斎藤はヤクルトとの開幕戦で、広島から移籍してきたばかりの小早川毅彦に3打席連続本塁打を浴び、4月下旬には右上腕二頭筋の炎症で登録抹消。約1ヶ月後に復帰したが、不調が続いた。桑田は右ヒジ側副靱帯断裂から2年ぶりの復活を果たしたが、100球までの球数制限があった。そのため、打席に立つ機会が減っている。一方、ガルベスはリーグ最多の8完投、リーグ2位の192回3分の1を投げており、打席数はセ・リーグ投手の中で2番目に多い70を数えた。同年、ガルベスと同じくらい打席に立った巨人の野手と比べてみよう。
■1997年の打撃成績(吉村・ガルベス・福王)
吉村禎章:62打数16安打1本14打点 打率.258(69打席)
ガルベス:65打数15安打3本11打点 打率.231(70打席)
福王昭仁:68打数12安打3本3打点 打率.176(76打席)
ガルベスの打撃成績は代打の切り札である吉村と遜色なく、左の代打である福王を上回っていた。しかも、長打率は.415と2人より高く、この年巨人に移籍してきた石井浩郎の.425に迫る勢いだった。その上、3ホーマーも効果的な場面で飛び出している。
■1997年のガルベスの本塁打
(試合日、スコア、対戦相手、投手、本塁打種類、打球方向、推定飛距離)
6月10日:○5対3 横浜・戸叶尚 勝ち越し3ラン 中横120メートル
9月15日:×2対4 ヤクルト・川崎憲次郎 1点差に迫るソロ 左125メートル
9月28日:○3対0 中日・今中慎二 先制ソロ 右110メートル
9月28日の中日戦では、6回に先制ソロを逆方向のライトへ叩き込んでいる。この日は宮本和知の引退試合だったが、ガルベスは7回を終わっても中日打線をノーヒットに抑えていた。そのため、宮本は投手ではなく、代打出場の準備をする事態となった。結局、ガルベスは8回1死から代打・愛甲猛に打たれ、最後は宮本にマウンドを譲ったが、主役の座を奪うような快打と快投を見せた。