7月6日にBSフジで中継されたヤクルト対巨人戦(神宮球場)で、清原和博氏(元西武、巨人)が真中満氏(元ヤクルト)とともに解説を務めた。3回裏、ヤクルト・高橋奎二投手の打席中、真中氏に「清原さんの時代もジャイアンツのピッチャー、バッティング良い選手多かったですよね」と振られると、清原氏は「ガルベスなんか、とんでもないと思いますよ」と即答した。
清原氏が巨人にFA移籍した1997年当時、斎藤雅樹や桑田真澄という打撃力のある投手もいた。その中で、なぜガルベスの名前を挙げたのか。松木安太郎研究家でライターの岡野誠氏が「清原氏がガルベスと即答した理由」を、当時のデータをもとに考察する(以下、敬称略。所属は当時)。
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1990年代の巨人でバッティングの良い投手といえば、斎藤雅樹や桑田真澄を思い出す人も多いだろう。高校時代から打撃の評価も高かった2人は入団後、投手から野手への転向も噂されていた。桑田は清原とPL学園の同級生で、1年生の1983年夏から5大会連続で甲子園に出場。清原の13本塁打に次ぐ歴代2位タイの6本塁打を放っている。巨人入団後も2年目に2ホーマーを記録。“打てる投手”として名を馳せていた。
そのため、清原は桑田の名前を挙げるかと思われたが、「ガルベス」と即答した。まず、1996年入団のガルベスを含む3人の通算打撃成績を並べてみよう。
桑田真澄:890打数192安打 7本塁打 79打点 打率.216(実働20年/1986年入団)
斎藤雅樹:744打数123安打 5本塁打 57打点 打率.165(実働18年/1983年入団)
ガルベス:259打数39安打 10本塁打 30打点 打率.151(実働5年/1996年入団)
打数に開きがある中で、打率トップは2割超えの桑田。投手の歴代最多本塁打の金田正一の.198、3打席連発の離れ技を演じた堀内恒夫の.172、シーズン3ホーマーを3度も記録した江川卓の.187という巨人の先輩エースたちを上回っている。1992年7月9日の中日戦(札幌)では先発の山本昌広から野手は1本もヒットを打てなかったが、桑田だけが2安打をマーク。日本一に輝いてMVPを受賞した1994年には打率.288と打撃でも貢献している。