『週刊ポスト』でのグラビアの撮影中、小芝風花はシャッターが切られるたびに表情を変え、身にまとう空気感まであざやかに切り替えた。27歳を迎え、時にはハッとするような大人びた眼差しでカメラを見据える。表現の振り幅に感嘆の声がもれると、途端に「えへへ」とあどけない笑顔に戻って、場を和ませた。
「お芝居でも“よーい本番!”で役に入って、カットがかかるとスッと抜けちゃう。すぐに切り替わって、役を引きずってしまうこともないんです。のめり込むとまわりが見えなくなってしまう性格で、『怒り』や『泣く』など感情が昂るシーンではグッと入り込んでしまう瞬間もあります。でも一方で、自分を客観視しながら役へ入っていく感覚もあって。そんな緩急も、スイッチの切り替えになっているのかもしれません」(以下、小芝)
小芝は近年、女優として振り幅を広げている。昨年放送のドラマ『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)では毒舌マシンガントークの“超絶やさぐれ女”を好演。人生初の金髪にも挑戦して、新しい扉を開いた。同年はドラマ5作品に主演やヒロインなど主要キャストで出演し、「2024年エランドール賞」新人賞に輝く。今年も勢いはそのままに早くも2作品で主演を務め、1月期の『大奥』(フジテレビ系)では徳川家の将軍正室、7月13日スタートの『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)では警視庁の捜査官と、様々な姿を見せ続ける。
新ドラマは実在する警視庁の部署をモデルにしたオリジナルストーリー。小芝は亡くなった身元不明者を家族や恋人の元へ帰そうと力を尽くす捜査官・三田桜を演じる。
「ご遺体の名前すらわからない状態から、身元の捜査がスタートします。手がかりは着衣や所持品などごくわずかで、亡くなっているので直接言葉を聞くこともできない。どんな人が、どんな想いで、どうして死を迎えたのか、最初はまったくわかりません。私が演じる桜は、亡くなった方の気持ちに強く寄り添う人。故人の体だけではなく、心も一緒に帰してあげたい――。その一念で突き進みます。毎話、ご遺体が愛する人の元へ戻る時にジーンと心があたたかくなるような、やさしい作品になっていると思います」