社会人野球を引退後は、審判員として高校・大学野球のグラウンドに立ち続けた内海清氏(筆者撮影)

社会人野球を引退後は、審判員としてアマチュア野球のグラウンドに立ち続ける内海清氏(筆者撮影)

「最高で年間120試合を務めたこともある」

 当然、審判員で生計を立てることはできない。

「全員が何かの仕事を持っています。審判になって5年目ぐらいが一番脂の乗っていた頃だと思いますが、当時は平日の夜遅くまで仕事、土曜に大学野球の審判、日曜は高校野球の審判として球場へ行く。それが毎週のように続きました。家族は放ったらかしでしたね(苦笑)」

 高校野球は練習試合が3月に始まり、主要大会は11月まで続く。週末に時間ができるのは12月から2月だけだったという。

 夏の地方大会が始まると土日だけでなく平日にも試合が組まれるので、普段は会社員をしている審判員は参加が難しい。仕事を調整しやすい自営業者や、夏休みで授業がない高校の教職員などが集中的に担当することになる。内海は信金を退職してバーを営むようになってから、平日も都合をつけて審判員を務めている。

「最高で年間120試合ぐらい務めたこともありますが、今は控えの審判員(5人目の審判)を含めて80試合くらいで、球審・塁審としてグラウンドに立つのは60試合ぐらい。控え審判にも役割があります。試合中に審判員の動きなどをメモして、試合後に行なわれる反省会での参考資料にします」

 リーグ戦が主体の大学野球は開幕前にほぼ全試合の日程が組まれるので、事前にどの球場で、どの試合の球審や塁審をやるかも知らされる。だが、高校野球はトーナメント制のため試合の3日前に審判員が決定する。すぐに仕事を休めない審判員もいるため、内海のような“自営業者審判員”が突然駆り出されるケースもあるという。

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