「夏の県大会は、想像以上に過酷です。選手たちは攻撃時にベンチで休めますし、近年はベンチでの熱中症対策も進んでいますが、審判は炎天下のグラウンドに立ちっぱなしです。イニング間に水分補給しますが、基本的にトイレ休憩は5回ウラのグラウンド整備時間中の一度だけ。
そのため塁審を1日2試合やることがあっても、球審は1日1試合が限界。炎天下で球審をやると神経をすり減らし、体力を使い果たしてクタクタです。バーのお客さんに“一番近くで試合を見られていいよねぇ”なんて軽口を叩かれますが、“あんたも審判員をやってみたら大変さがわかるよ”と言ってやると黙りますね(苦笑)」
(第4回に続く)
※『審判はつらいよ』(小学館新書)より一部抜粋・再構成
【プロフィール】
鵜飼克郎(うかい・よしろう)/1957年、兵庫県生まれ。『週刊ポスト』記者として、スポーツ、社会問題を中心に幅広く取材活動を重ね、特に野球界、角界の深奥に斬り込んだ数々のスクープで話題を集めた。主な著書に金田正一、長嶋茂雄、王貞治ら名選手 人のインタビュー集『巨人V9 50年目の真実』(小学館)、『貴の乱』、『貴乃花「角界追放劇」の全真相』(いずれも宝島社、共著)などがある。高校野球の審判員のほか、柔道、飛び込みといった五輪種目を含む8競技のベテラン審判員の証言を集めた新刊『審判はつらいよ』(小学館新書)が好評発売中。