一般的な介護の負担の他にも、節子さんは「浮気しているだろう」「金を払え」と言ってくることもあったという。徘徊などで近隣に迷惑をかけてしまうことも多く、吉田さんは周囲に相談もせずに一人追い詰められていく。酒にも溺れていった。
「呑兵衛だが、どんなに酒を飲んでも、誰かに暴力を振るったことは一度も無い」と話す吉田さん。なぜ殺害するまで追い込まれたのか。
「(昨年の)9月20日のことなんだけど、雨が降っていたんです。節子はチェーンがかかった玄関扉から顔を出して『助けてください』と叫んだ。隣近所のことが気がかりだった。その後の数日もひどいので、7119(救急安心センター)に電話したんですよ。錯乱状態みたいになっていたから、鎮静剤みたいなものをもらえないかなと思って。救急車をまわしてもらったのが、26日あたりです。
ひどかった時は建物の端から端までインターホン押してね。話している内容はそれぞれ違ったんだけど、『警察を呼んで』とか『暴力を受けている』とかね。このときの俺の気持ちは、節子には何度も言っていたんだけどね、『静かにしてくれねえかな』ってのが正直いちばんでした」
そして「節子を殺して自分も死のう」と考え始めたのは9月の下旬頃だった。